大原 正彦 社長

会社設立して30年埼玉で1300戸管理

亀岡 御社は管理会社ですか。管理戸数はどれほどあるのですか。

大原 1300戸です。でも、当社の場合は管理といっても、近年は経営代行という形での受託を強化しています。

亀岡 経営代行とはサブリースですか。

大原 サブリースとは違います。借り上げず、貸主代理としてオーナーの代わりに経営代行します。経営代行料は月額家賃の10%を頂戴しています。

亀岡 サブリースでもないのにオーナーは10%も管理料を支払うのですか。

大原 経営代行はオーナーと管理会社が一心同体です。賃貸経営の目的はキャッシュフローと賃貸価値の最大化です。当社では入居者募集、入居者トラブル対応から家賃集金はもちろん、日常清掃および建物管理、銀行ローンの対応、税金対策、長期のメンテナンス計画まで策定します。

亀岡 サブリースはもともと私が1986年に書いた『マイ・アパート』という本の中で取り上げたのですが、この本を教科書にして、伸ばした管理会社が大手で結構あるんですよ。

大原 1986年ですか。今から32年前とはずいぶん前からこの仕組みを紹介されていたんですね。

亀岡 サブリースの元祖を知っていますか。『アパートマンション情報』という雑誌をいち早く出版したハウザーという会社です。

大原 ハウザー知っています。『アパートマンション情報』も懐かしいですね。

亀岡 このハウザーの創業者が増本光雄という野村証券出身の社長で当時は飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していました。うちが『全国賃貸住宅新聞』を発行することになったきっかけも、もともと『アパートマンション情報』の編集を担当していたからなのです。賃貸業界について知るうちに、「これからの時代は賃貸だ」と考え新聞をつくったのです。

大原 そうだったんですね。勉強になります。

亀岡 御社の管理戸数は1300戸ということですが、その数字ではこれからの時代大変ですよ。昔なら1000戸台の管理戸数の会社でも、もっと頑張ってくださいと話していましたが、今ではトップ企業が管理戸数100万戸の時代です。そうなると太刀打ちできなくなります。私は、最近賃貸住宅を住宅だとは考えていないのです。流通システムだと考えているのです。

大原 流通システムですか。

亀岡 例えば、100万戸管理している会社が管理物件全てオール電化住宅にしようとした場合、それだけの数を一気にオール電化にするのですから、1戸当たりのコストをかなり安く抑えることができます。つまり、安い金額でオール電化にしたら当然それほど家賃に転嫁する必要はないですから、他の物件よりも競争力がつくわけです。

女性の心くすぐる企画退去発生しても即成約

大原 これからの時代、スケールメリットはますます重要になってくると思います。ただ当社も設立して30年。管理は17年前から始めてコツコツと増やしてきました。デザイン力を推進力にして小さな会社を上手くブランディングすることで当社は成り立っています。

亀岡 御社が考える差別化とは何ですか。

大原 当社が考える差別化とは賃貸住宅が増え続ける中、住みごこちの良い、住んでみたいと思われる賃貸住宅のブランディングとマネージメントを中心とする業務に仕事内容を絞り込むことです。

亀岡 住んでみたいと思われる賃貸住宅とは具体的にはどんなものですか。

大原 例えば、全7戸の賃貸住宅『ハンノキハウス』では「カフェのようなお家」がコンセプトです。漆喰(しっくい)壁や無垢(むく)のフローリングと白ベースの室内の組み合わせにより、女性の入居者さん中心に支持されています。『Fromage Atre&Noel(フロマージュ アトレ&ノエル)』という物件にいたっては建物の前で記念写真を撮る人がいるほど注目されています。ヨーロッパの街灯をイメージした外灯と石張りのエントランスアプローチが好評のようです。もちろん、デザインだけでなく収納を多くするなど機能面も高いです。駅から遠く木造ですが、満室です。

亀岡 コストを安く抑えた競争力のある物件であればオーナーにも分かりやすい訴求力ですね。

大原 オーナーの収益性をいかに最大化するかと考えたときに大事なのは最初の建築コストを落とすことです。当社では直接建材会社と取引するので原価を抑える強みがあります。

亀岡 サブリースをしなくても、10%の代行料を支払うのは入居率が高いからなのですね。

大原 それに加えて自社で開発したクラウドシステムで賃貸管理をしているので、さまざまな問題解決にも早く対応できます。その結果、管理物件の8月の入居率は97・7%です。

ディスコ運営から不動産会社へ転業

亀岡 管理会社も最近は人材確保に苦労しているようですね。

大原 当社ではデンマークスタイルの会社をみんなで目指しています。『小さくて強くて、生産性が高く高収益で、労働時間が短い会社』です。現在、完全週休二日制、残業無し、システムキッチン付の社員食堂、有給完全消化できるように体制を整えています。スタッフ間の情報共有、企業理念の浸透が前提ではありますが、優秀なスタッフがそろってきています。

亀岡 ところで、社長は学校を卒業してすぐに不動産業界に入られたんですか。

大原 違うんです。私は法政大学卒業後、エルビス・プレスリーが好きだったこともあり、米国テネシーの大学に留学して、地元の広島県福山市でイベント会社を起業しました。そこで、当たったのが、ディスコティック事業でした。

亀岡 ほう、ディスコの運営をやられていたんですか。昔はやりましたね。

大原 ところが、そのディスは最初はよかったのですが、あるときうちの4倍規模の競合店ができて、うちはつぶれてしまいました。その後、不動産会社に転職したことがきっかけで、この業界に入りました。当時はテナントビルの企画などに携わっていて、その経験が今の建築企画事業に生かされています。

亀岡 建築企画は創業当初からされていたのですか。

大原 建築企画は7年前からです。先ほどお話しさせていただいた『ハンノキハウス』からですね。その建築企画をするようになってから、経営代行まで一貫して受けるようにしました。この建築企画では、建設費の10%を頂くので、事業としては非常に収益性が高いのです。

亀岡 建築は金額が大きいですからその分収益が得られるでしょうね。ただ、これからの時代は何が起きるか分かりません。経営者としていろいろ勉強していかないといけないでしょう。

大原 これまでさまざまな経営者に会ってこられた亀岡先生が考える成功する経営者の条件とは何ですか。

亀岡 成功する経営者の条件は3つあります。1つは名前を売るのがうまいということです。特に業界に名前を売ることで、周りからあの会社はどういう会社なんだと話題になります。2つ目は借金が上手だということです。やはり事業を拡大しようとするとそれなりの資金が必要になります。最後3つ目は組織づくりの名人です。組織をつくるかどうかで事業拡大のスピードは違ってきます。組織づくりは経営者にとって大事です。

大原 そうですか。いい勉強になりました。

亀岡 これから会社を伸ばそうとしたら、さまざまな勉強が必要です。

大原 はい。今回はどうもありがとうございました。

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