有田 一平 社長

イギリスでエネルギーのデータ解析を研究

亀岡 社名は何と読むのですか。

有田 エネチェンジです。新電力の比較サイトや電力切り替えの仲介事業を行っており、エネルギーをかえるという意味を込めています。

亀岡 私は電力に詳しいですよ。新大阪新聞時代、電源開発の担当記者で黒部ダムや佐久間ダムを取材していました。関西電力内の記者クラブ『五月(さつき)会』は私がつくったようなものです。当時は、電力といえば停電が多くもめ事ばかりでした。しかし、その真偽にかかわらず面白おかしく書いてしまう記者が多かったため、それを統一するために記者クラブができました。

有田 そうだったんですね。現在は災害以外で停電になるということはめったにありませんね。関西電力は、大飯発電所の再開により電気販売量も復活してきました。原子力発電を持っているため価格競争も強く、新電力の会社が苦しんでいます。

亀岡 かつてその頃「黒四は失敗」と書いて関西電力初代社長の太田垣士郎氏を怒らせたことがあります。

有田 それは怒りますね!(笑)。世紀の難工事といわれた黒部ダム建設をなぜ失敗と書かれたのですか。

亀岡 当時の電力需要の伸びは、1年で何倍にもなるほどすごい勢いで伸びていました。「コストと人命をかけすぎたのではないか。火力発電の方が良かったのではないか」という逆説を書きました。そんなことが書けたのも太田垣氏とは仲良くしていたからです。

有田 電力には詳しいはずですね。私は31歳の頃、イギリスのケンブリッジでエネルギーのデータ解析を行うベンチャー企業を立ち上げました。イギリスは2002年から電力の自由化が進んでおり、引っ越しと同時に電力会社を選ぶことが当たり前となっていました。家庭の電気使用量データを解析して、電力会社にとっては原価を、利用者にとっては電気代を抑えられる方法を研究していました。

亀岡 そこで蓄積したノウハウを16年の日本の電力自由化に合わせて、乗り込んできたということですね。

有田 その通りです。利用者が自分のライフスタイルを基に各電力会社でシミュレーションして電気代を比較できるプラットフォームを作りました。これが電力比較サイト『エネチェンジ』です。

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亀岡 面白いですね。どのようなビジネスモデルですか。

有田 電力会社へ利用者を紹介して、契約手続きまでを代行することで電力会社から手数料をもらっています。そのほか、不動産オーナーの所有物件における共有部の電力切り替えの契約代行も行っております。

亀岡 手数料で稼ぐわけですね。しかし、それでは大きな稼ぎは得られませんよ。太田垣氏は電力の大ボスですが、彼の親分は誰か知っていますか。

有田 どなたですか。

亀岡 阪急グループ創業者の小林一三氏です。鉄道を敷き、駅を百貨店にして、沿線の周りに住宅を建てるという私鉄経営モデルの原型を作りました。その下で働いていた太田垣氏は考えることが大きかった。黒部ダム建設の次は、日本初の原子力発電所『美浜発電所』の建設にも着手しました。

有田 もっと大きなことを考えていかなければならないということですね。私どもは、エネルギーの未来を考えています。今後起きる「エネルギー市場の変革」をデータ解析によって支えていければと考えております。電力は販売価格の90%が原価です。その原価も使用する時間帯によって大幅に変わってきます。ということは、利用者ごとに最も電気を使う時間帯が安価になるようなプランを作ることができれば、より適切な電気代で提供できます。これは、電力会社にとってもコストを抑えられるメリットがあります。そのほか、電気代が高い時間帯は蓄電池から電力を供給するなどさまざまなコストダウンの方法があります。中立的な立場でエネルギー業界発展の手助けをしたいです。

亀岡 立派な考えですね。新電力はどんな企業が参入していますか。

有田 エネルギー系企業のほか、携帯会社や電鉄系なども参入してきています。自社の既存サービスと組み合わせて割引率を拡大しているので、利用する携帯電話や生活スタイルによって電気代が変わってきます。現在、約300社の企業が参入しているため利用者が混乱するのは当然です。

(続きは本誌で)

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