杉之原 冨士子 代表

梱包の経験を生かし片付けの魅力を広げる

亀岡 ホームステージングはどういった事業ですか。

杉之原 室内に家具や小物、インテリアを入れることで物件流通の活性化を促しています。また、部屋の片付け、掃除、遺品整理を含めて住まいに関することをトータルで提案することで、入居者がより豊かな暮らしを提供しています。

亀岡 もともとは欧米で中古物件を売買する際に活用され始めた事業でしたね。日本でもオフィスビルや高齢者向けの住宅に入居者の生活イメージが掴めるような工夫が行われていたことが先駆けでしょう。賃貸業界では高齢化、人口減少や空き家など、様々な問題がはびこっています。これらの解決にも一役買っているわけですね。代表を務めている(一社)ホームステージング協会はどういった活動を行っていますか。

杉之原 ホームステージングの普及啓発と、実務としてホームステージングを行うホームステージャーの育成を行っています。資格の認定講座を全国で設けて、プロフェッショナルな人材を輩出しています。現在約2000人の会員がおり、オーナーや管理会社、リフォーム会社、掃除洗濯代行会社など、幅広い業界の人が活躍しています。

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亀岡 法人を立ち上げたきっかけは何だったのでしょう。

杉之原 約15年前に引っ越し荷物の運送会社で働き始めたことです。今でこそ引っ越しの梱包サービスは一般化していますが、当時は片付けに対する世間の認知が低く、定職を持たないフリーターやリタイア後の高齢者が行っていました。片付けに対する知識や技術を持っていない人が従事していたため、入居者側からのクレームが多く入る状況でした。家の価値は片付け一つで大きく変わります。ある顧客からは「片付けができないから家が売れない」という悩みを聞いた時、片付けのスキルを生かし、家の中にあるものを整え、生かすことで売却に成功しました。これまでの片付けが、家の売却や賃貸の入居促進につながると確信を持ち一般社団法人ホームステージング協会を立ち上げました。

亀岡 私が亀岡大郎取材班を立ち上げたのが1974年でした。当時の賃貸管理業はまだまだ地位が低く、入居者からのクレーム処理や物件の汚れや傷みを直したりと、不人気業界の代表格でした。もちろん大手企業で賃貸管理を行っている会社などどこにもありません。それなら新聞の力で賃貸住宅の地位を上げようと本紙を創刊しました。業界の地位を上げたいという志は、大きな原動力となります。

杉之原 おっしゃるとおりです。私も片付けに対するイメージを上げたいという一心でした。現在では大手管理会社の法人会員も多く、福岡県の最大手でもある三好不動産もその一つです。

亀岡 三好不動産とは私も縁が深いですよ。故・三好勉氏と三好修社長は親子2代でこちらの対談コーナーにも登場しました。賃貸管理を業として確立し、全国へ広めた会社ですね。今や賃貸住宅は飛躍的に部屋の質が上がりました。もはや「貸家といえば低所得者が住む家」というイメージは払拭(ふっしょく)されました。

(続きは本誌で)

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