三好不動産（福岡県福岡市）は、中国人富裕層向け投資用不動産販売のプロジェクトチームを立ち上げて活動を開始している。２年ほど前から取り組む中国人留学生の入居促進事業を担当する５人の中国人社員のうち２人がこのチームに参加。中国本土で開催されるセミナーや展示会絵の出展、不動産会社や銀行など現地法人からの情報収集などを行っている。「２週間に１度は誰かが中国に行っている状況」（経営企画部齊藤寛氏）と中国との接点づくりを急速に進めている。
昨年10月には大連で開催された日本企業の展示会に出展、投資用物件についてプレゼンテーションした。「用意した紙袋を持っていく人が多かった。盛況でした」（齊藤氏）。その後、上海で開催されたイベントにも参加し、他の地方の不動産業者とともに日本の収益不動産をアピールした。
三好不動産が提案する収益不動産は、５００万円の区分所有物件から４億５０００万円の１棟ものまでさまざま。まだ、手さぐりの状態だ。すでに数人の中国人投資家とコンタクトをとり、福岡で数組を案内したこともあるが、まだ販売実績はない。
手探り状態が続く中国人投資家向け不動産販売に対し、２年前に開始した中国人留学生向けの部屋探し事業は好調に件数が増えてきた。２００９年10月から２０１０年７月末までの１年間で２７２契約・約６００人弱の留学生が成約。前年度は１６４契約・約３００人だったので、入居者数ベースで２倍以上に増えた。留学生は経済的な負担を軽減するため、賃料４万円ほどの学生向けワンルーム物件に２人で入居するパターンが多い。１人あたりの賃料単価は低くなるが、ワンルームの空室率が非常に高い福岡では、貴重な空室対策の一手になっている。この事業を通じて、５人の中国人を正社員採用した。九州大学の大学院を修了した優秀な人材もいるという。
