NPO法人N・C・S(東京都渋谷区)と一般社団法人トレーラーハウス協会(東京都台東区)は、東日本大震災の被災者向け仮設住宅としてトレーラーハウスを6月から供給する「モバイル・すまいる」プロジェクトを5月16日に発表した。N・C・Sは、阪神大震災後被災地に安価で良質な住宅を提供する活動などを行ってきた団体。
トレーラーハウスとは住宅の下に車輪がついており、トラックで移動可能な住宅。一時的に仮設住宅として利用し、定住地を見つければ移動して増設することができるため、30年以上住むことができる。移動可能という利点を生かし、首都圏で建設して被災地に輸送して必要な場所に供給することで、現地の人手不足や企業負担を軽減。
「これまでの仮設住宅は住む必要がなくなると解体していましたが、トレーラーハウスであれば壊す必要もなくそのまま常設住宅としての利用が可能です」(山下保博N・C・S理事長)
常設住宅として住めるよう内外装に無垢の木材を使用し、切妻屋根のデザイン、発泡ウレタンを吹き付けているので断熱性能も高い。12坪・2LDK、5坪・1LDK、7坪・2LDK、8坪・2LDKの4タイプを展開予定で、価格は約300万円~850万円、施工期間は3週間ほど。そのほかボランティアなどに向けた入浴施設のみの「モバイル・銭湯」、宿泊施設「モバイル・ステイ」集会場や医療施設などに利用できる「なんでモバイル」もある。
同プロジェクトは国土交通省と宮城県の応急仮設住宅リストに掲載され、被災3県に概要を送付済み。協力企業や有志の参加者が多数集まっており、協力を申し出ている職人は募集後1週間で3000人を超えた。現在も建設する土地の提供、現地での運営や、情報提供などに協力する個人・法人を募集している。