国交省は改修資金調達の具体策を提示
DIYは大空室時代の切り札になりうるか。
国土交通省では、昨年3月に自宅の賃貸流通を目的に入居者負担で改装する「DIY型賃貸借契約」(以下、DIY型契約)の指針を公表したが、さらにDIY型契約の活用まで踏み込んだ調査報告書を今年3月12日、発表した。
同契約の活用にあたっては、借り主個人での工事資金調達が困難な場合があること、以前はなかった契約方式であり、どのように締結すべきか判断が難しいといった課題があった。
こうした課題の解決策として、(1)資金調達、改修の実施(2)DIY型賃貸借契約において必要と考えられる協議・合意内容及び留意すべき事項(3)DIY型賃貸借を推進するうえで有効と考えられる取り組みの例の3つについてまとめている。
(1)では、借り主負担、貸し主負担、事業者負担、各当事者負担の資金調達と改修について具体的に言及。
また、原状回復義務、改修費の税務会計処理等についても解説している。
今回の報告書は、DIY型契約の実践において参考書として機能するだろう。
民間では、入居者が気軽に取り組めるDIYサービスが登場している。
今月オープンしたDIY可の部屋探しサイト「CUSTOMROOM」では、物件仲介とともにDIY用のキットを提供する。
運営するTSUMUGI(岩手県陸前高田市)は、家具の製作キットを開発・販売しており借り主は、床材や塗料、家具などいくつかのメニューから選ぶことができる。
中古住宅売買を行うしあわせの家(神奈川県横浜市)では、部屋の一部に入居者負担のDIYを組み込んだリノベーション提案を開始。
同社がDIYの材料を複数用意し施工をサポートする。
借り主自身が好みの空間に改装するDIY可の賃貸住宅は徐々に増えてきていたが、「興味はあるが、やり方がわからない」というユーザーが多く、敷居の高さが普及を妨げる要因にもなっていた。
DIYを賃貸入居者の主層である20~30代に訴求するには、不動産会社やオーナーの理解と実践が不可欠だ。
本紙では今後も動向を追っていく。