管理戸数2500戸の三幸商事(千葉市)は、入居者からの問い合わせに対し、できる限り即日で対応を行い、入居者満足度を高めている。この取り組みが奏功し、既存入居者からの顧客紹介で、管理物件が成約する事例もあるという。
満足度高まり、入居紹介年5件
同社はJR京葉線蘇我駅周辺を商圏に、賃貸管理・仲介などを行う。従業員数は9人で、専任はおらず全従業員で入居者からの問い合わせへの対応にあたる。
入居者からの問い合わせは、日に1〜4件ほどで、基本的に本社に電話がかかってくる。受電次第、問い合わせ内容を社内で管理するA3サイズの用紙に記入。その用紙には問い合わせ内容のほか受電日、対象物件名、問い合わせをした入居者名と連絡先を記す。すぐに対応できそうな内容であれば、手が空いている社員や役員が対処するため現地に向かう。
例えば、ごみ捨て場にごみが散らばっている場合は、従業員自ら清掃しに行く。従業員の手が空いていないときは、清掃会社に発注する。
騒音に関しては、問い合わせた人にその日のうちにコンタクトを取り、本人の要望をヒアリングしたうえで、管理物件に騒音注意に関するチラシを張る。希望があれば騒音元の入居者に直接注意をすることもある。
日々の問い合わせは毎朝、始業時の朝礼で発表する。問い合わせ内容、どのように対応したか(もしくはどのように対応するべきか)、対応完了済みか否かの三点を伝える。対応が未完了であるものの共有ができ、対応の取りこぼしを防ぐことができるという。
即日での対処ができるよう、社員全員での対応を心がけ始めたのは2008年ごろからだ。入居者からの信頼獲得に取り組むことで、既存入居者から新規入居者を紹介してもらえることが毎年5件ほどあるという。
賃貸管理部の堤千壽子部長は「入居者からのクレームや問い合わせは、社内では『リクエスト』と呼び方を変えている。クレームと呼ぶよりも、従業員の精神的負担が多少軽減され、対応スピードも速くなると考えた」と話す。
(2023年7月17日4面に掲載)