ARC研築、地域とつながり古民家活用へ

ARC研築

商品|2024年03月06日

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工事完了時の2階の様子。壁を取り払い広いワンフロアに改修した

築65年の空き家をオフィスに

 内装設計やリフォーム工事を手がけるARC研築(大阪府茨木市)の村上貴信社長は、築古の空き家を活用することで、古民家の残るまちづくりに挑戦しようとしている。

 村上社長は大学卒業後ハウスメーカーで設計業務に従事し、2019年にARC研築を設立した。祖母が築90年ほどの住宅で暮らしていたため、村上社長は幼少期から古民家に親しんできた。就職時には古民家に関わりたいという志向は持っていなかったが、18年の大阪北部地震や台風で古民家がつぶれ、解体されていくのを目の当たりにしたときに衝撃を受けたという。

 「古民家は自分にとってはあって当たり前のものだった。それがなくなるかもしれないと認識したとき、設計をやってきた経歴を生かして古民家を残したいと考えるようになり、創業を決めた」(村上社長)

 現在は住宅や店舗の設計を手がけながら、築古物件のリノベーションを年に1、2件受注する。同社が耐震改修や古民家の構造に関する無料セミナーを主催したり、茨木市主催の子ども向けものづくりイベントの運営に協力したりすることで、地域とのつながりを構築している。

 23年10月には、築65年の空き家をリノベし、オフィスとして利用し始めた。阪急電鉄京都線茨木市駅から徒歩6分、茨木中央銀座商店街の並びに立つ木造2階建ての物件で、住宅として使われていた。もともと周辺の土地を所有する地主の所有だったが不動産会社に売却され、築古だったこともあり10年以上入居がないままだった。村上社長は使い手がいない古民家活用の事例にすることができればと考え、この物件をリノベ可の条件で借り、壁を取り払い、急勾配だった階段を付け替えるリノベを実施。2階はオフィスとして同社を含め4社が入居。1階は地域に開放するコミュニティースペースだ。テーブルを置いて近所の人たちの休憩所としているほか、今後はDIYイベントを開催したりすることを想定する。

 同物件のリノベでは、商店街に店を構える店主からエアコンやトイレを譲り受けるなど、住民とのつながりで費用を削減できた。村上社長は「空き家の活用には、借り手と貸し手の信頼関係が必要。借り手がどんな人で何をしようとしているのかを貸し手に聞いてもらえる関係性をつくり、両者をつなぐ役割を果たすために、地域での活動を続けていく」と語る。

村上貴信社長画像

ARC研築
大阪府茨木市
村上貴信社長(34)

 

(2024年3月4日8面に掲載)

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