更新料問題決起集会に家主200人参加

法律・制度改正|2009年11月30日

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11月22日、京都商工会議所にて貸主更新料弁護団と更新料問題を考える会の共催により「更新料問題決起集会」が開催された。当日は三連休の中日にもかかわらず京都府下のオーナーら約200名が参加、依然予断を許さない状況の続く一連の更新料問題に、一致団結して取り組んでいくことを誓い合った。

集会では貸主更新料弁護団の代表を務める田中伸弁護士をはじめ、管理会社、税理士、不動産鑑定士、オーナーなど、合計11名の講演が行われた。各人、合意のもとで行われた契約を後になって反故にしようとする公序良俗に反する行為や、家主を取り巻く環境の厳しさなどを訴え、更新料の有効性を主張した。

「一連の裁判は"更新料"という名目だけで判断されてしまった感が強い。そもそもこの裁判に判決を下した裁判官そのものが"賃料の性格"に対して知識をもっておらず、まともな判断を下せたかどうか甚だ疑問が残ります」(不動産鑑定士 杉山氏)

「不況や供給過剰、家賃下落など家主を取り巻く環境は厳しくなるばかり。家賃収入のほとんどを借入金の返済に回している状況で、税金や修繕費用もばかになりません。こうした状況も理解せずに更新料無効などという不当判決を下すのは、つまり家主に首を吊れと言っているようなもの。家主こそ弱者であるということを裁判官は知ろうとするべきだ」(服部オーナー)

貸主更新料弁護団代表の田中伸弁護士は、「これまで貸主側の主張を訴える場がなかっただけに、決起集会を行えた事の意義は大きい」とし、今後も集会を開きたいとの意向を示している。世間では少数派の家主の声を世に訴えかけていくことが今後の裁判の結果にも影響を与える、と田中弁護士は主張する。

2事案が最高裁判決へ

弁護団側の資料によると、賃貸借契約における更新料が初めて法廷の場で争われたのは平成17年10月26日の東京地裁とされる。この事例では「更新料有効」の判決が下された。そして次の事例となるのが、一連の更新料問題の発端となった平成20年1月30日号京都地裁判決である。この裁判については京都地裁判決で「更新料有効」との判決が下されたが、借主側の控訴により進んだ大阪高裁で貸主側の逆転敗訴となり、業界内に大きな衝撃を与えた。貸主側はこの判決を不服として、上告しており、最高裁の判断を待つ状態だ。

また、この他に現在3つの裁判が行われており、すでに判決を下された平成21年3月27日の大津地裁判決に始まる一連の裁判が大きな注目を集めている。地裁判決で下された「更新料有効」との判決を不服とし借主側が控訴したが、平成21年10月29日の大阪高裁判決でも「更新料有効」との判決が下された。大阪高裁判決で貸主側が逆転敗訴の判決を受けた直後だっただけに、貸主側の意気を高揚させる重要な判決となった。なお、この裁判についても上告が行われ、審議は最高裁に持ち越されている。

現在、大阪高裁で審議中の2つの裁判についてもどんな判決が出るにせよ原告・被告いずれかにより上告されることは必至の状況。今後、1、2年のうちに下されるという最高裁判決が業界の今後を左右する重要なものとなる。

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