安定的な経営をサポート
長期間空きが続いているテナント物件の活用に悩むオーナーも多いだろう。
活用策のひとつとして、最近、注目を集めるのが、コワーキングスペースだ。
複数の人が利用する共同オフィスで、デスクや事務機器といった基本的な設備を持つ。
利用者同士の交流やイベント開催などソフト面での価値を求めて訪れるユーザーも多い。
そんなコワーキングスペースのフランチャイズ事業をスタートしたのがコミュニティコム(埼玉県さいたま市)。
JR大宮駅徒歩1分のテナントビル7階にコワーキングスペース「7F(ナナエフ)」を運営する。
フランチャイズは「コワーキングスポット」というブランド名で展開し、ナナエフの利用会員でもある空間設計を行うラ・キッカ志水敏之社長と共同で事業を行う。
第1弾は、来月5月に福島県郡山市にオープン予定だ。
ビルオーナーからの依頼で、立ち上げから運営までを行う。
フランチャイズ本部は、オーナーに商標、システム、運営ノウハウを提供し、月に1度の経営指導を行う。
オーナーは、加盟料と月々のロイヤルティを支払う仕組みだ。
運営を含めたすべてを委託するスペシャルプランは、加盟料150万円、システム導入費120万円、運営委託費・ロイヤルティが月額売上の20%、運営を自分で行う基本プランは、加盟料100万円、システム導入費120万円、ロイヤルティが月々売上の10%となっている。
その他、既存コワーキングスペースの準加盟の3つのプランがある。
フランチャイズを始めたきっかけとして星野社長は次のように語る。
「当社のコワーキングスペースには、多くの不動産オーナーやビル管理会社、行政関係の方が見学に訪れます。ですが実際にオープンして軌道に乗せるまでいく例は少ないのが現状でした」。
また実際、開業したものの、思ったように集客できず結局、閉じてしまうケースも間近で見てきた。
「これまで培ったノウハウを体系化して経営がうまくいくようサポートする体制を作りたいと考えました」(星野社長)。
フランチャイズでは、ブランド共通のウェブサイト制作や、スペースオーナー同士の交流会、スペースでのイベント開催などソフト面でのバックアップも準備している。
コワーキングスペースは、空き物件の活用だけにとどまらない。
「7F」は目抜き通り沿いにあるビルに入るがスタート時は他の2フロアも空いていた。
だが、その後、各フロアに英会話教室や旅行会社の入居が決まった。
同ビルのオーナーは、「コワーキングスペースを利用する人の流れができたことでビル全体の雰囲気も変わった」と変化に驚いていたようだ。
今後は、フランチャイズ事業を通じて、経営支援だけでなく、物件再生や地域再生にもつなげていきたいと意気込む。