三好不動産・長栄など有力246社が名を連ねる
国土交通省は7月30日、「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験」を実施する登録事業者246社を決定し、実験を8月31日から開始することを発表した。
不動産IT取引は、取引主任者が対面で行うことが義務付けられている不動産取引時の重要事項説明と説明書の交付を、インターネットを使ってオンライン化するもの。
顧客が契約や説明を受けるために、遠方から店舗まで何度も足を運ぶ必要がなくなり、事前に重説の内容を精査することも可能になる。
これまでの不動産仲介のビジネスモデルを大きく変える試みとして、その動向に注目が集まっていた。
6月17日から7月3日まで、同省ホームページの登録申請フォームで受け付けた。
エントリーは462社だったが、書類不備などにより最終的に246社に決定した。
三好不動産(福岡県福岡市)や長栄(京都府京都市)、中部興産(沖縄県沖縄市)など、各地の有力管理会社が名を連ねた。
ようやく実験開始の日取りが発表されたことを受け、IT重説の議論の発端となった意見書を提出した日本財託(東京都新宿区)の佐藤友昭取締役は、「当社の場合、管理物件の4割の入居者が地方からの転勤者です。ITを活用することで入居者は時間をかけて重説の内容を吟味することができるようになり、入居の選択肢が広がります」と語った。
今後、実際に社会実験に取り組むかどうかは登録業者が判断する。
テレビ電話やウェブ会議システム、録画・録音環境などが必要になるため、設備投資が必要になる。
「当社は遠方から来る法人需要を見越し、まずは久留米本店、福岡店、博多駅前の社宅サービス専門店で実験に参加します。不動産ポータルサイトを運営するネクストが提供するウェブシステムを利用する予定です」(駅前不動産:福岡県久留米市 嶋田聖社長)
なお、実施期間は平成29年1月までの予定。
年内に実験状況を検証するために、有識者による検討会を設置する。
「期間中に数度の検討会を開き、状況次第で早期に実験を切り上げることもあります。問題がないようであれば、正式に不動産IT取引の開始に向けた準備に入ります」(国交省 土地・建設産業局 和田氏)