空き家を使い、街の再興に取り組む人を紹介する。空き家をうまく活用するには、所有者と使い手に加え、彼らをつなぐ自治体やアレンジャーの存在が不可欠だ。大阪府岸和田市では、外国人観光客の取り込みを目指す観光課が中心となり、民泊や飲食店など、空き家を使った事業を市民に呼び掛ける試みが始まっている。
岸和田市は魅力創造部観光課が中心となり、「空き家利活用座談会」を開催する。岸和田城下にある空き家を、観光コンテンツとしてまちづくりに生かすため、空き家の貸し手と使い手に加え、専門家を交えて意見交換することが狙いだ。1月24日に開催された座談会には、空き家所有者、民泊など空き家を使ってビジネスを行う民間事業者、金融機関などが参加した。
大阪府南西部の泉州に位置する岸和田市は、南海電気鉄道空港線に乗ると関西国際空港から20分程度で移動できる。市の中心部に岸和田城があり、紀州藩の参勤交代路として栄えた紀州街道には景観保全された歴史的な街並みが残る。毎年9月と10月には「岸和田だんじり祭」が開催され、新型コロナウイルス禍前の2019年の9月祭礼には41万人の観光客が訪れた。外国人観光客でにぎわいそうなものだが、宿泊施設が少なく観光産業が育っていないことが、市が抱える課題でもあった。