ナミキ 東京都板橋区 蒲澤亮太 社長(32)
地主を中心に、土地活用で賃貸住宅の建築・管理の提案を行うナミキ(東京都板橋区)の新社長に、蒲澤亮太氏が就任した。社内の働きやすさ向上など、新しい取り組みを行っていく。
32歳の蒲澤亮太氏がかじ取り
建築から管理獲得 1万6000戸に拡大
ナミキは東京都城北、城西エリアや埼玉県南部を商圏に、賃貸住宅の建築や管理を手がけている。
23年6月期の売上高は約180億円で、そのうち建築事業が6割を占め、残り4割が不動産事業となっている。不動産事業には管理、賃貸仲介、リフォーム、売買仲介などが含まれる。
展開する賃貸住宅は大きく二つだ。一つ目は、木造デザイナーズアパートの「サンヴィアーレ」シリーズ。4〜12戸の規模で、専有部は20㎡の1Kで設計している。ロフト付きなのが特徴だ。
二つ目のマンション「エフィーレ」シリーズは、4階建て25戸程度の規模で、専有部は25㎡の1Kだ。
2シリーズの累計建築棟数は349棟3280戸に上る。そのうち、エフィーレが80%、サンヴィアーレが20%と、マンション商品の割合が大きい。
蒲澤社長は「マンションの割合が高いものの、ストックビジネスの強化を考えたときに、売り出していきたい商品は木造アパートのサンヴィアーレだ」と話す。
サンヴィアーレの顧客は基本的に地主系だ。管理も合わせて受託することでオーナーと長期の関係性を構築していく。建築後の管理受託率はほぼ100%で、管理戸数は1万6000戸に到達した。
管理を通してオーナーとの接点を持ち続け、リフォームなどの工事の受注や、新たな賃貸住宅の建築・販売につなげる。
語学学校で教師 不動産業界へ転身
蒲澤社長は、1937年創業である同社のかじ取りを32歳で任された。並木洋一会長を叔父に持ち、専務を母に持つ。血縁関係があったことから白羽の矢が立ち、2023年7月、トップに就任した。
蒲澤社長は元々大学でフランス文学を専攻していた。キャリアとしてのナミキとの縁は、16年に同社が運営する日本語学校の教師として入社したのがスタートだった。そこで約4年間、留学生に日本語を教えていた。
不動産業界へ転身したは20年のことだ。不動産売買仲介部門への異動辞令があり、そこで1年3カ月、不動産業務を学んだ。その後は不動産関連の部署を3カ月ごとに合計6部門経験し、各部署の知識を蓄えた。
現在も並木会長のもとで修業を積みながら、経営について学んでいる。
風通しを改善 社員380人と面談
蒲澤社長は新たな組織づくりに取り組む。その一つが社内の風通しの改善だ。そのために、社長就任後から社員約380人を対象に面談を重ねてきた。1人30〜40分程度で、会社への不満や業務の改善提案をヒアリングする。24年2月21日時点で80人との面談を実施した。「新しい社長である私のことを知ってもらう機会でもある」(蒲澤社長)
吸い上げた意見は内容を精査しつつ、並木会長をはじめとする上層部で共有し、社内方針に関する意思決定の一助にする。
これまでトップダウンの色が濃かった社風から、ボトムアップ型に切り替えていく。現在、同社では3〜4年目の新卒社員の離職が課題の一つ。社員の要望や提案を傾聴することで業務への不満感を和らげ、離職率の低下につなげていく。
24年6月期の売り上げ目標は200億円だ。建築の受注目標はエフィーレが25棟、サンヴィアーレが12棟。
管理戸数は年間600戸の受託増を目指す。蒲澤社長は「ここ数年の受託増加数は100戸程度のため当社にとって高い目標となる」と話す。建築からの管理獲得を伸ばすため、地主営業の経験者も採用した。加えて、管理会社のM&A(合併・買収)も視野に入れるなど、管理戸数増加に力を入れていく。
(國吉)
(2024年3月4日20面に掲載)
