退去時の修繕、家主負担増か
米国の大都市では新型コロナウイルス禍以降も家賃上昇が続く中、各州や地方政府による居住系賃貸物件への法規制が顕著だ。
カリフォルニア(CA)州では賃借人からの訴訟費用の負担増により保険会社が家屋・賠償保険料を大幅に引き上げたり、建物検査による修繕対応を家主に強いており、インフレによる運営経費の上昇と相まって賃貸物件の収益が悪化している。
賃貸物件に法規制 設備安全を義務化
CA州では、2025年1月1日から施行される階段・デッキの安全検査と修繕対応済み証明書の提示を義務化する。
またロサンゼルス(LA)市では賃貸物件を対象に空調設備の設置義務化を検討中だ。寒さが厳しい東海岸地域では暖房設備の管理義務が施行されているが、年間を通して温暖な西海岸地域での冷房設備はあくまでも賃借人の負担とすべきだ。
保険会社による建物検査では、委託を受けた検査会社が保険契約開始日から30日ほどで物件検査を実施し、老朽化した配電盤や屋根の張替えなどの要修繕リストが管理(PM)会社に送付され30日以内の迅速対応が求められることが多い。そこでプロパティマネジメント(PM)会社では事前に該当項目の修繕を実施し、検査に備えることが必要となる。
またLA市など一部大都市でのみ実施されている耐震基準条例を周辺都市でも導入の検討中で、全州的な同条例の適用への動きもある。
築古の賃貸物件所有者にとっては、耐震補強工事の費用負担の金額も増している。