「目の黒いうちに総資産1兆円企業を目指す」。3月27日、コロンビア・ワークス(東京都渋谷区)が東証スタンダード市場に上場した。同社は上場で資本を強化し、会社の成長を加速する。
10棟販売、売上144億円超
自己資本強化狙う
コロンビア・ワークスは、オフィスやホテル、賃貸住宅など幅広いアセットの開発事業を主力に展開する。2013年に中内準社長と水山直也取締役が「リーマン・ショックのような大規模な不況が訪れても『つぶせない』会社にしたい。そのために、目の黒いうちに総資産1兆円の企業を目指す」と目標を掲げて創業した会社だ。今回の上場を足掛かりに、開発を加速する。
上場の目的は主に資金調達の多角化と安定化だ。「外部要因による影響を減らしていくためには、自己資本を強化する必要がある。資金調達の手段の一つとして、上場を決めた」(中内社長)
開発を強化するため、21年からは特別目的会社(SPC)も活用する。
足元の業績は大きく伸びている。23年12月期の連結売上高は前期比31.4%増の144億6900万円、経常利益は同28.5%増の23億8200万円。販売棟数は10棟だった。
24年12月期は、販売棟数18棟を見込む。売上高で200億8100万円、経常利益で26億3800万円となる計画だ。
開発事業のほか、コロンビア・コミュニティ(同)で賃貸管理・仲介、コロンビアホテル&リゾーツ(同)でホテル運営を行う。23年4月にはコロンビア・アセットマネジメント(同)を設立し、年内に投資顧問事業の認可を取得し、事業の多角化を図る。
利用者目線が起点
同社の開発事業の特徴は、アセットの種類が幅広いことにある。賃貸住宅・オフィスは1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)が中心、ホテルは全国で展開する。同社で物件の取得・企画・開発を行い、一棟単位で販売。販売先は機関投資家が9割、事業法人が1割程度となっている。
中内社長は「開発において、販売側の都合に合わせるのではなく、利用者の目線を起点にした本当に必要とされる物件を企画するという考えが根底にある」と語る。これが競合他社との差別化につながっているという。
例えば、同社の賃貸住宅「LUMIEC(ルミーク)」シリーズには、珍しい入居者向けサービスを提供する物件がある。無料で朝食を提供したり、高級電気自動車のカーシェアリングを提供したりしている。
「特典があるから入居が決まるわけではない。だが、最後の決め手にはなり得る。価格から逆算した物件づくりではなく、入居者が利用したくなるサービス・物件であることを重視する」と中内社長は話す。
ホテル開発を強化
直近では、ホテル開発を強化する。新型コロナウイルス禍の影響で賃貸住宅の開発に軸足を置いていたが、観光事業も回復し、ホテルの開発を進めている。すでに沖縄県古宇利島と神奈川県箱根町で工事が進む。
開発手法の多様化にも力を入れる。用地から物件を企画する従来の手法でなく、顧客の需要から土地を選定。テナント側の要望を受け物件企画を行うBTS(ビルド・トゥ・スーツ)型の開発も進める。
中長期では、アセットマネジメントや賃貸管理、ホテル運営事業を拡大する。アセットマネジメント事業では今後、金融機関などからの紹介をメインに顧客開発を行い、法人顧客に対する資産コンサルティングを行う。
「今後も豊富なアセットを開発することによる相乗効果の向上に努めていく」(中内社長)
(柴田)
(2024年4月8日20面に掲載)