レオパレス21(以下、レオパレス:東京都中野区)が家主を相手取り、借り上げ家賃の減額請求訴訟を起こし、係争中だ。
鑑定で提示額の妥当性争う
レオパレスは、被告の家主に賃貸住宅と駐車場の借り上げ家賃として、167万8571円を支払っていた。しかし、近隣物件の家賃相場との乖離(かいり)が認められたとして、従来家賃より約33%下げた112万1855円への減額を求めた。2021年8月以降の、同社の求める借り上げ家賃と従来家賃との差額分など合計1316万7900円を請求する。
それに対し、家主はレオパレスによる賃料減額請求は①借地借家法第32条1項に定められた「土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同権の建物の借賃に比較して不相当となった」とする要件を欠く②賃料額が事情の変更により不相当になったことを証明できていないとし、レオパレスと全面的に争う姿勢を見せる。
11月1日に東京地裁で行われた第1回口頭弁論では、原告側が不動産鑑定評価書の提出を検討することになった。今後は、レオパレスが賃料額の不相当性を証明できるかがカギになる。相当額について争うことになった場合には、不動産鑑定評価書の内容を基にしつつ裁判で判断される。
今回の裁判における重要な点は、レオパレスが「家賃適正化」として21年4月以降に行ってきた、借り上げ家賃減額の妥当性が裁判で争われることだ。
レオパレスが、家主との合意なしに、一方的に減額した借り上げ家賃を振り込んだ案件が問題化した。一方的な減額に対し、従来の家賃を支払うことを求める裁判が少なくとも27人の家主から提起された。
今回の被告の家主もその一人だった。裁判のさなかレオパレスが減額前の家賃との差額などを家主側に支払ったことで、減額賃料が適正かどうかに関しては裁判では争われなかった。
家主側の弁護士を務める鈴木沙良夢法律事務所(東京都新宿区)鈴木沙良夢弁護士は「レオパレスの提示した資料だけでは、借り上げ家賃の妥当性は判定できない。レオパレス側に立証責任があるため、同社が私的な鑑定書を提出した上で、裁判所に鑑定の申し出を行うのが筋」と語った。
レオパレスは「訴訟中につき回答は控える」とコメントした。
(2022年12月5日1面に掲載)