東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県で不動産賃貸や管理、リフォームを手がけるルームキューブ(東京都台東区)は、空室対策のコンサルティングでオーナーの信頼を獲得。既存オーナーからの新規委託で年間60〜70戸ベースで管理を伸ばし、現在では約800戸を管理する。
低価格のデザインリフォーム
同社の売り上げは非開示だが、全体のうち賃貸管理と管理物件の賃貸仲介の売り上げが7割を占める。残り3割はリフォームや非管理物件の賃貸仲介、売買仲介だ。
「管理会社としての業務を主軸に事業を行っている。管理会社はオーナーの代わりに物件の運営をさせてもらう立場。オーナーならどうしたいかを考えて業務に取り組んでいる」と榎本敦史社長は話す。
同社では管理物件の仲介においては、仲介手数料や広告費は受け取らないことも多々ある。管理物件での収入は基本的に家賃の3%の管理料のみだ。入居率は約98%。
管理を委託するオーナーは約100人で、新規オーナーのうち、既存オーナーや取引先企業からの紹介を通じた依頼が9割以上を占める。
同社が得意とする空室対策の一つが、コストを抑えた物件の商品力向上策。特に意識しているのは、費用対効果の高いデザインリフォームだという。水回りの交換や建具変更などの大幅な改修は行わず、壁紙などのデザイン変更や1000〜2000円程度の小物の設置といったステージングで物件の特徴づけを行う手法を採用する。
10万円以下のデザインリフォームやステージングを採用した物件は9戸程度だが、家賃を据え置いたままで満室にしている。
実際の事例では、8戸中3戸が空室だった新築アパートの管理を受託した際、空室部分をデザインリフォームだけで当初の家賃を変更せず平均2週間で成約にした。実際にかかった費用は1戸につき5万円程度だった。
同物件で行ったことは、アクセントクロスの張り替えのみ。もともとアクセントクロスが貼られていたが、それを通常の白のクロスにし、別の壁に特徴的なアクセントクロスを施工した。
ほかの案件では、アクセントクロスの貼り替えに加えて1000〜2000円程度の小物でホームステージングを行い、成約したこともある。
同社で空室対策を提案した案件については、平均1カ月以内で成約している。管理物件の入居率向上にも効果を上げる。
「今後は人事評価に 空室対策提案の項目を追加し、どういった人材が評価されるかを明確に提示することで人材育成を進めていきたい。まだまだ社員のみではコストパフォーマンスの高いリフォーム提案ができないので、社員のスキルを伸ばしていきたい」と榎本社長はコメントした。
今のペース管理を増やし、まずは管理1000戸を目指す。
ルームキューブ
東京都台東区
榎本敦史社長(46)
(2023年3月27日6面に掲載)