国土交通省は19日、ホームページ上で家賃債務保証会社を規制する法律案を発表した。法案の柱は3つ。家賃債務保証業の登録制度、家賃等弁済情報データベースの登録制度、家賃等の悪質な取立て行為の禁止だ。問題は、督促に関する規制を定めた60条が、家賃債務保証会社だけでなく、管理会社や家主までをも対象としていることだ。
貸金業法をベースにしたとみられるこの法案は、面会、文書送付、張り紙、電話等の手法を問わず、人を威迫する行為や、人の私生活または業務の平穏を害するような言動を禁止すると定めている。具体的には、ドアロック、動産の持ち出し、深夜・早朝の督促などだ。違反した場合には、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科する罰則が設けられている。
法案は今期の通常国会に提出され、可決後早ければ2011年度から施行される見通し。法案がそのまま通れば、家賃回収の現場は今まで以上に慎重な対応が求められることになる。
滞納家賃の督促行為を規制する法案に対し、全国の管理会社から困惑の声が上がっている。ドアロックなどの不法行為を禁じる点については異論はないが、何を持って「威迫」と判断するのか、具体的な指標を求める声が多い。
法案の発表を受け、(社)全日本不動産協会は、「家賃等の悪質な取立て行為の禁止については、法令を遵守することは当然であり、これまでも研修会や会報誌を通 じて会員等に広く周知しています。ただ、その要因と思われる家賃滞納者への法的処置に長い時間と多大な費用がかかることについても制度的解決策が必要と存じます」(川口貢理事長)。(社)全国宅地建物取引業協会は、「法案が出たばかりなので、これから内容を精査し、今後の対応について検討します」(事務局)とコメントしている。