見守りサービス費用を負担
熊本県は8月28日、保証人がいないため退去期限を迎えた応急仮設住宅から民間賃貸住宅に転居できない被災者を支援する制度を始めた。
2016年4月に発生した熊本地震の復興関連事業。見守りサービスを提供する会社に県が1世帯当たり10万円を助成する。
対象となる被災者は身寄りがない高齢者が多く、家賃滞納や孤独死などが不安材料になる。
県は家主や管理会社の受け入れリスクを軽減し、被災者の生活再建を進めたい考えだ。
活用促すサポートが課題
熊本県が設けた保証人不在者転居支援制度の利用条件は、被災者が管理会社指定の家賃債務保証会社を利用することに加え、一般社団法人夢ネットはちどり(熊本市)の見守りサービスと損害保険ジャパン日本興亜(東京都新宿区)の損害保険にも加入することだ。
これにより、孤独死などのリスクに備える。県は1世帯当たり10万円を助成することで、被災者が負担する見守りサービスと損害保険にかかる毎月の利用料を1500円値下げし、4240円に抑えた。ただし、家賃債務保証会社への支払いは個人負担になる。
夢ネットはちどりは、電話で月2回の安否確認や、異常時の訪問、近隣トラブルや家賃滞納に関する相談に対応。入居者の体調によって医療機関や福祉サービスの紹介などを行う。
損害保険では居室内で入居者が死亡したときの特殊清掃を含む原状回復費用や残置物処理費用を補償する。
熊本県は、応急仮設住宅の退去期限を2018年7月末に控えた被災者にアンケートを実施。
現時点で40人が「保証人がいない」ことを理由に入居期間の延長を希望しており、「全体では100世帯ほどになる見込み」(熊本県すまい対策室職員)。
延長は19年7月末までのため、今年度の予算に100世帯分1000万円の助成金を確保した。