金融緩和縮小、オーナーが考えたいファイナンス

【連載】ファイナンスからみた不動産経営 第6回

投資|2023年09月21日

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 本記事執筆時点で金融緩和はしばらく継続されるもようですが、将来的に緩和が縮小される可能性もあります。融資引き締めとなる条件のうち①融資掛け目(LTV)②金利③融資期間に関してオーナーはどのような考え方をすべきか、ということを最後にご紹介したいと思います。

解決策は複眼的な視点で

1.融資掛け目

 LTVが厳しくなった場合、いくつかの選択肢が考えられます。

 ①自己資金を増やす

 頭金を含めた自己資金の多くは現預金となっていますが、資産のポートフォリオという視点で見た場合、全体の運用効率を押し下げているという見方ができます。流動性という側面で現預金は優れていますが、バランスを見直す機会が必要です。既存の保有物件の投資内部で効率の低下がみられれば、売却出口の検討を考えると良いでしょう。

 ②共同担保を差し入れる

 すでに保有している物件や自宅などに担保余力があれば、これを共同担保として差し入れることによりLTVの問題を解決できる可能性があります。

 ③総投資額を下げる

 投資自体の規模を縮小することで相対的な自己資本割合を増加させることができます。1000万円の頭金は、1億円の物件に対して10%ですが、5000万円の物件に対しては20%になります。

2.金利

 金利上昇局面はインフレ局面と同一である場合が多く、それは地域的な要素(産業構造の変化やそれに伴う人口流出など)による問題がないという条件を前提として、保有期間中の賃料収入と物件価値の上昇を伴う可能性が高いということを表します。DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法による投資判断は、保有期間中および売却時の手取り金額の総額を貨幣の時間的価値に基づき割引いたときに初期投資額と同額(NPV=0)になる割引率(内部収益率IRR)によって行われますが、金利とインフレの影響も反映させて検討する必要があります。単年度の投資効率における金利の影響は、融資期間やLTVよりも相対的に低くなる場合が多いことも申し添えておきます。

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