大阪府では、2月1日から3月31日までを「賃貸住宅原状回復トラブル防止啓発月間」として、府が作成した原状回復ガイドラインの周知・啓発活動を強化している。賃貸住宅の入退去が多い時期に原状回復の基本的な考え方を知ってもらい、原状回復を巡るトラブルの防止を目指す。
大阪府の住宅相談窓口には、原状回復のトラブルに関する相談が年間300件ほど寄せられるが、そのうち9割は借主からのもの。大阪府では借主が不利益を被ることを防止するため、ガイドライン周知をより推進していきたい考えだ。
具体的には大阪モノレールのプラットホームや府内企業のデジタルサイネージ(電子看板)への広告の掲載や、府内約300の高等学校へのチラシ配布を行う。一般社団法人大阪府宅地建物取引業協会(大阪市)などの業界団体とも連携し、改めて団体会員に契約時から退去時までの各段階での原状回復の考え方の説明を徹底するよう依頼する。
期間を定めてガイドラインの周知を強化するのは、今回が初めて。大阪府は2013年、国が策定した原状回復ガイドラインをコンパクトにまとめた大阪府版の原状回復ガイドラインを作成。原状回復に関するトラブルの防止を企図したものの、近年の相談件数、内容には大きな変化がなく、周知の強化が必要だと判断した。
(2024年3月4日11面に掲載)