賃貸住宅への高齢者入居支援を行うR65(東京都杉並区)が、高齢入居向けの賃貸契約書ひな形を無償で配布している。身寄りのない高齢入居者が死亡した際に、賃貸借契約の解除や残置物処理などのリスクを軽減することに配慮したものだ。提携している不動産会社の40社を中心に配付を進めている。
高齢者に対応、無償で公開
契約書には、死亡後の賃貸借契約の解除や、残置物処理について、相続人の代わりに受任者を定め、手続きを委任するといったような内容が記されている。管理会社が利用する賃貸借契約書とは別に、同契約書を入居者・管理会社・オーナー・R65の4者間で締結することにより、スムーズに死亡後の処理ができる。
提携している管理会社であれば、居住支援法人であるR65が受任者として手続きを行う。提携していない管理会社には指定相続人が存在する契約書を配布する。この契約書を活用することにより、管理会社は手続きや残置物処分の費用負担のリスクを軽減できる。
相続人がいない場合、高齢入居者が死亡した後、賃貸借契約の解除や残置物処理が進まず、数年経過してしまう事例は少なくない。そのため、管理会社は身寄りのない高齢者による入居を促進しにくいのが実態だ。
同社としては、受任者を引き受けることで、提携する管理会社を増やしていくことを目指す。提供する見守りサービスや、65歳以上を対象とした賃貸情報サイトを併せて推奨する。山本遼社長は「近年、自治体からの身寄りのない高齢者の部屋を探してほしいという声が多くなり、契約書を作成した。管理会社やオーナーが安心して高齢者入居の促進をできるようにしていきたい」と話している。
(2023年11月6日18面に掲載)