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平成29年度版年間着工数ランキング

賃貸住宅に強い建設会社

2017年度の賃貸住宅着エ件数を調査したところ、増減は各社バラツキが目立った。全体の傾向を示した国交省統計では前年比横ばいながら、各社事情は共通して「新築の収益性確保」に苦心した様子が見て取れた。新築後にオーナーが無理なく経営できるよう建設メーカーが凝らした「選択と集中」の中身を探った。

エリア別着工数ランキング1位

北海道・東北日本住宅3170
北陸・甲信越廣瀬286
関東MDI9480
近畿生和コーポレーション5735
東海ユニホー615
中国・四国新和建設285
九州・沖縄上村建設1646

融資引き締めでも提案力で突破。アイデアは多種多様

関東エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
MDI東京都中央区深山 将史9480
(6483)
60815981467882462
シノケンハーモニ東京都港区三浦 義明7037
(6918)
913007037913
TATERU東京都渋谷区古木 大咲6337
(5447)
7403756300735
金太郎ホーム千葉県千葉市佐々木 数修都2400
(-)
145180010560040
三光ソフラン埼玉県さいたま市胡  平1489
(-)
1587788571173
クラスト東京都千代田区仁地 一哲908
(775)
819088100
朝日建設神奈川県相模原市中川 秀樹662
(445)
426624200
アヴェントハウス東京都千代田区新田  泉460
(282)
364603600
新日本建設千葉県千葉市谷口 佳彦446
(738)
5446500
松堀不動産埼玉県東松戸市堀越 宏一440
(816)
471761926428

「セキスイハイム」で知られる積水化学工業(東京都港区)が都内で記者懇親会を開いた17年11月10日。住宅カンパニートップの関口俊一プレジデントは囲み取材を受けていた。

「国内のアパートが飽和状態といわれる中、セキスイハイムの事業拡大は厳しいと思います。関口さんはこの逆風をどう捉えていますか」

「もう新築は無理。賃貸管理とリフォーム事業で補っていく」

国内の人口減少と空き家問題で収益がひっ迫する中、建築エリアをこれまで以上に絞り込まなければならない必然性を説いていた。それはそのまま同社の新築事業が縮小することを意味していた。関口プレジデントの苦虫をかみつぶした表情が、すべてを物語っていたように見えた。

「賃貸住宅の収益性を見極めろ」。日銀が全国各地の金融機関に指導を始めたのは16年中ごろ。東海財務局の担当者は「確かに地銀幹部と接触して注意喚起したことが何度かあった」と明言した。「銀行の融資審査が厳しくなった」とハウスメーカーから嘆き節が聞こえるようになったのは翌17年半ばからだ。

新築後の安定経営を貫くためにオーナーは収益性をよりシビアに見つめる必要性が出てきたが、望みが絶たれたわけではない。この逆風をチャンスと捉える専門家もいる。

一般財団法人日本不動産研究所(東京都港区)の吉野薫エコノミストは「人間には利便性を追求し続ける本能が備わっている」と説いた。賃貸住宅は画一的な質の低いものがまだまだある。良質なものを供給すれば人は住む。投資の余地は大いに残されているという見解を示した。

「勝てる賃貸住宅」を供給したいメーカー各社の経営努力を取り上げる。

仕入れ要員を補強

関東圏1位に返り咲いたMDI(東京都中央区)の着工件数は608棟9480戸。2位のシノケンハーモニー(東京都港区)に2400戸以上の差をつけた。
好立地の仕入れが順調に進み、入居率99%を維持している強みを訴求できた。

用地仕入れでは、飛び込みを軸とした営業スタイルで地主との関係を強化し続けた。
この基礎体力でもって福岡市、広島市、岡山市、浜松市、練馬区、仙台市に新営業拠点を開設し、合計27拠点となった。営業社員も1年間で207人増員した。全体の3割が用地仕入れ、7割が建築請負営業と分業することで効率と質の向上を図った。

自社建築物件約2万戸のうち入居率は6年連続で99%以上。
建物性能にとどまらず、入居者がクロスやカーテンを選択できる『オーダーメイドインテリア』や入居者がヨガや美容などのサービスを受けられる『LivLiCLUB(リブリクラブ)』で長期入居率や管理物件内のリピート率を高めている。

コンセプト型で差別化

「音楽マンション」で知られる越野建設(東京都北区)では前年の127戸から150戸へ微増した。すべて楽器演奏可能な音楽マンションだ。

東京城北エリアで供給してきた24棟の入居率は99・3%。相場賃料よりも高い数値を維持していることから、金融機関から実績を評価してもらえているという。

相場より高い賃料でほぼ満室を維持できているのは、楽器演奏ニーズをくみ取った独自性が市場で受け入れられているからだ。「楽器を弾きたい社会人が住む。多少立地が不便でも高い家賃で住んでくれる」(土屋貴之マネージャー)。これまでは東京・王子地区で建てるケースが多かったが、埼玉県蕨市や神奈川県の川崎市まで広げることができた。

「非住宅」へシフト

新日本建設(千葉県美浜区)の着工数は前年738戸から446戸に減った。物流施設やホテル建築の割合が増えて、相対的に賃貸住宅の建築数が減ったことが要因だ。

大手ゼネコンが東京五輪工事に集中しているため、「20~30億円規模の非住宅系案件がとりやすくなった」(担当者)という。

同社は3年前より非住宅部門を伸ばそうとしている。案件を持ってくるデベロッパーが「賃貸マンションよりも利回りの良いホテルなどを寄せてくるようになった」ということも一因だそう。

この記事は、本紙『年間着工数ランキング』(2018.6.25)からの抜粋です。紙面では関東エリア30位までのランキングのほか、各地域の詳細な情報を掲載しています。

「自社開発」採算とれず。土地活用提案に活路見いだす

北海道・東北エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
日本住宅岩手県盛岡市滝村 照男3170
(2827)
747317074700
サン建築設計北海道札幌市中村 靖哉1122
(1113)
6611226600
アスク工業北海道札幌市長岡 英二658
(770)
350065835
テスク北海道札幌市丹 英司555
(183)
285552800
オリエント建設北海道札幌市藤田 春幸439
(412)
2827241226

東海エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
ユニホー愛知県名古屋市名東区加藤 公治615
(-)
466154600
須山建設静岡県浜松市須山 宏造325
(241)
203211941
日東建設愛知県名古屋市中区柏木 博喜324
(300)
7324700
ウィズコーポレーション静岡県静岡市小林 敏宏271
(229)
142711400
大成工務店静岡県沼津市大竹竜太郎258
(-)
202582000

昨年と比べて建築戸数は微減だが、内訳に大きな変化があったのはアサヒ住宅(北海道札幌市)だ。

昨年、自社開発は7棟104戸、土地活用が22棟214戸だったのに比べ今年は、自社開発を1棟16戸のみに抑え、土地活用を28棟256戸まで伸ばした。

自社開発を控えたのは、土地価格の上昇が打撃となったからだ。建物の取得費がかさめばその分利回りも下がる。一方、価格が低い土地は当然、賃貸経営をするうえでは場所も悪くなりやすいため、入居付けが困難になる。同社は入居率97%と高い数字をキープしており、賃貸経営に適さない土地の建築には一切手を出さなかったということになる。

山崎良一常務取締役は「創業して51年目になるが、オーナーの資産を長年守り続けられる物件の提案に力を入れたい」と話した。

そんななか、自社開発が26棟と昨年と同水準だったのは、オリエント建設(北海道札幌市)。今年建築をしたオーナーのうち半分が、顧客の再購入、残りの半分が銀行や仲介業者からの紹介だ。谷直樹部長代理は「今後は土地の価格に左右されない土地活用の請負建築を増やしていきたい」と話す。各社が方向性を転換してきていることがうかがえる。

ワンパターンな間取り回避

土地活用提案で着工数を伸ばした須山建設(静岡県浜松市)は、表面利回り7%を下回らない企画提案で地主から支持を得ている。今回は地主を通した紹介が増え、前年の241戸から325戸へ増やした。同社のオーナー会には497人が加わっている。

同社が提案しているのはRC造マンションブランド『リワード』。静岡県、愛知県で展開し、30年間で580棟7566戸の実績を持つ。

ワンパターンな間取りを避けて、1棟に1LDKや2DKなどの数種の間取りを提案している。「敷地の広さに合わせて柔軟な設計が組める技術者を抱えている」(担当者)。表面利回りは、土地代込みで7%、土地なしで8~9%が最低ラインになる。

この記事は、本紙『年間着工数ランキング』(2018.6.25)からの抜粋です。紙面では関東エリア30位までのランキングのほか、各地域の詳細な情報を掲載しています。

入居需要が底堅いエリアに集中。都市部、商業地など

北陸・甲信越エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
廣瀬新潟県新潟市廣瀬 徳男286
(98)
82325543
植木組新潟県柏崎市植木 義明251
(32)
62275241
アシーズ石川県金沢市前山 政雄155
(75)
8155800
イワコンハウス新潟新潟県新潟市髙尾 茂典116
(120)
7116700
アルカスコーポレーション富山県南砺市岩崎 弥一96
(182)
396300

近畿エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
生和コーポレーション大阪府大阪市黒田 順一5735
(5009)
22555582231772
フジ住宅大阪府岸和田市宮脇 宣綱2171
(2336)
209554761617133
信和建設大阪府大阪市前田 裕幸1244
(1318)
17992142523
ケーティアイ建設工業大阪府大阪市玉山 勲412
(-)
4533438787
進和建設工業大阪府堺市西田 芳明395
(485)
223952200

中国・四国エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
新和建設岡山県岡山市北区田淵満希雄285
(324)
9285900
安成工務店山口県下関市安成 信次274
(-)
142741400
杉野工務店愛媛県松山市佐古 英樹224
(158)
41523721
谷口建設興業香川県高松市谷口 邦彦79
(-)
279200
土井建設岡山県総社市豊池 公人54
(50)
454400

植木組(新潟県柏崎市)の着工件数は5棟227戸。同社が土地活用として提案しているのが「ウエキデザインビルドシリーズ」と呼ばれる商品だ。
「土地や自社ビル、賃貸マンションなどの不動産は大切な資産です。その資産を効果的に管理・運用することで収益の向上はもちろんのこと、中長期的な投資計画を策定することが可能です」(同社担当者)

同社の商品は基本RC造によるもので、「標準型」と呼ばれるものから、テラスをオープンスペースとした「ガーデニング型」、室内で自由に楽器等が弾ける「防音型」、犬・猫と共生が可能な「ペット共生型」、居住空間を上下二層に分けた一戸建て感覚の「メゾネット型」など立地や用途・コストに合わせ、オーナーの資産ポートフォーリオを最適化し、有効活用と収益の最大化をサポートする。

一方、老朽化した建物を再生させる「植木組リノベーションシステムPICS」は、保育園からデイサービスやビジネスホテルから老人保健施設へのコンバージョンなど、現況に合わせてさまざまなバリエーションを用意している。

同社では老朽物件に対し、まずさまざまな角度から有効活用法を比較検討する。建物を解体し土地を売却した場合には、解体費のほか、土地簿価を加えて、売却額はいくらになるか。また建物を解体し新築した場合、同様にRC造にすると総投資額はいくらになるか、さらにコンバージョンの場合は解体費と工事費でいくらになるかを比較し、最適な条件を提案していく。

立地とデザインで差別化

近畿圏首位の生和コーポレーション(大阪市)は前年比で700戸ほど増やし5735戸。大半が地主向け提案だ。

増加要因は「営業マンの飛び込み強化」という。詳細は不明だが、4大都市圏に特化してRC造を供給した。地域のランドマークとなるようなデザイン性が売り。

一方、アスカ建設(兵庫県姫路市)の着工数は234戸から139戸へ微減。非住宅や注文住宅案件が増えて、相対的に賃貸住宅件数を減らした。

これまではリピーターが着工の半分以上を占めていたが、着工数の減少を受けて、新規顧客の獲得に目を向けている。具体的には、高い利回りが出しやすい土地の情報を仕入れて「新築物件を建てればX%の利回りが出る」という情報をインターネット上に公開することで全国の投資家からの受注を目指す。

エリアを商業地に特化

新和建設(岡山市)の着工数は前年の324戸から285戸へ微減だが、間取りによって棟当たりの戸数は変わるため「受注のボリュームが減った感覚はない」という。

主に岡山市内、岡山県内の商業地に特化して用地を仕入れ、既存投資家に提案した。商業地なら容積率400%、建ぺい率80%という条件で高利回り賃貸マンションを建築し、価格帯は2億円から。「我々は入居需要のある立地にこだわって提案している」(営業担当者)とコメントした。

この記事は、本紙『年間着工数ランキング』(2018.6.25)からの抜粋です。紙面では関東エリア30位までのランキングのほか、各地域の詳細な情報を掲載しています。

駅前店舗を住宅に建て替え。郊外のシニアが移住

九州・沖縄エリア

会社名/所在地代表者名合計地主営業自社開発
戸数(前年)棟数戸数棟数戸数棟数
上村建設福岡県福岡市博多区上村 秀敏1646
(1277)
7416467400
川口建設福岡県北九州市川口 博史1393
(1307)
241211221822
ユーミーコーポレーション鹿児島県鹿児島市弓場 昭大826
(898)
598265900
未来図建設福岡県福岡市南区菅原 正道776
(-)
1674015361
神崎建設工業宮崎県宮崎市神崎 雄一郎529
(582)
295292900

九州エリアでは首位の上村建設(福岡市)が土地活用件数を大きく伸ばした。着工件数は前年1277戸から1646戸に増加した。大半がRC造だ。

同社は地主の土地活用でJAと協業している。地銀OBが各支店に在籍しているため、融資交渉前に賃貸経営の事業計画をしっかり練り上げていることと、入居率96%が評価され資金調達がスムーズになることが強み。

2016年10月に完成した『ブレアシリーズ』の受注が伸びている。建材の一括購入や設計技術で建設コストを抑えながら、豊富なバリエーションとランクアップした内装設備で、大手ハウスメーカーと競合しても選ばれるようになった。

一方、ユーミーマンションを供給している神崎建設工業(宮崎市)は前年比微減ながらも同水準の戸数を維持した。

駅前や大通り沿いの開発が増加した。リーシングが難しくなっている空き店舗を賃貸マンションに建て替えるケースが相次いだ。

高台の戸建てから移り住みたい高齢者が増えており、入居需要が底堅いのだという。

また私的年金の確保などを目的に不動産投資が活況となり、少なからず追い風を受けた。過剰なアパート融資が問題になり融資の引き締めが始まっているが、「入居率97%の当社は安定した賃貸経営を持続できる点を地元金融機関から評価されている」という。

満室での物件引き渡しにこだわり、完成見学会の開催や常設モデルルームの設置によって早期満室を実現している。

この記事は、本紙『年間着工数ランキング』(2018.6.25)からの抜粋です。紙面では関東エリア30位までのランキングのほか、各地域の詳細な情報を掲載しています。