9案件を採択 2カ年計画で調査・実証
環境省が本年度から募集していた「低炭素ライフスタイルイノベーションを展開する評価手法構築事業委託業務」において、7月22日、9案件が採択された。
国が進める家庭部門の温暖化対策において、生活実態に有った評価指標を創設しようというものだ。
これまでの温暖化対策評価は低炭素化(CO2削減)に主眼が置かれてきたが、今回目指す新たな評価は「No Energy Benefit(ノン エナジー ベネフィット、略称:NEB)」というものだ。
NEBは「エネルギー効率以外のメリット」を指しており、快適性、健康、資産価値などがその対象となってくる。
「どんなに低炭素化に貢献しても、その暮らしが快適でなければ家庭部門の省エネは進みにくい。新しい評価の視点は『低炭素かつ、快適な生活への貢献度』を汲み取ったものにして、省CO2な生活=健康で快適な生活、といえるようになっていけば」と環境省地球環境局地球温暖化対策課の田上翔係長は話している。
採択された9案件のほとんどが住宅に関わる指標だ。
その中で、環境エネルギー総合研究所(東京都中央区)が提出した「グリーンリフォームによるグリーンスタイルを創発する便益指標化の研究」では、子育て世帯における若年層向けリフォーム指標、中高年向けリフォーム指標と並び、賃貸住宅の新たな省エネ性能住宅の制度として「エコ賃貸ベンチマーク調査」が盛り込まれている。
エコ賃貸の評価制度について大庭みゆき代表は「快適性能に加え、オーナーの収益性への貢献度も評価の項目に組み込んでいきたい」と話している。
採択事業は早急に評価制度の設計がなされ、早ければ年度内中にも実態調査が始まることになりそうだ。