全保連、東証スタンダード市場に上場 家賃債務保証を軸に売上238億円

全保連

商品|2023年10月28日

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上場セレモニーの様子

M&Aも視野、居住用シェア拡大狙う

 家賃債務保証(以下、家賃保証)最大手の全保連(沖縄県那覇市)は10月25日、東証スタンダード市場に上場した。居住用の家賃保証でのさらなるシェア獲得を目指し、エリアを拡大。M&A(合併・買収)も視野に入れる。

 同社は賃貸住宅の家賃保証を主軸とする。2001年に設立し、23年3月期の売上高は22年3月期比9.8%増の238億4600万円。経常利益は18億4400万円と13.8%の増益だった。

 メインである賃貸住宅の家賃保証契約件数は累積で366万件となり、同社が試算する居住用家賃保証マーケット約2000億円のうち11%のシェアを占めるという。協定を締結する不動産会社は4万1078社(3月末時点)と業界でも最多規模に及ぶ。

 今後は、さらなるシェア獲得のため、エリアの拡大を行っていく。迫幸治社長は「拠点のない、日本海エリアと南九州エリアでの営業を進めていく」と話した。DX(デジタルトランスフォーメーション)により新たに拠点を設けずに、新規エリアの開拓を行えると踏む。居住用家賃保証のシェアは伸ばす余地があるとする。

 加えて、M&Aも視野に入れる。迫社長は「現在、家賃債務保証会社(以下、家賃保証会社)は250社ほどあり、そのうち国土交通省に登録するのは約100社。残りの150社はグループの管理物件の家賃保証を行う自社保証会社であったり、地域限定の中小企業などだ。競合が多い中で淘汰(とうた)されていく可能性がある。当社が相談を受けM&Aを行うことも考えている」と語る。

DXで商品差別化

 商品の差別化も推進。契約の伸長に寄与した、金融機関の与信を生かして指定日に賃料全額をオーナーに送金する「概算払方式」の案件に加え、DXにより不動産会社にとって利便性の高い商品の提供を行っていく。電子申し込みができる「Z‐WEB(ウェブ)2.0」や、入居時に家賃保証契約と火災保険などの契約の手続きを同時に行えるサービス「Z‐value(バリュー)」を運用。今後は、外部企業とのアライアンスによる付帯商品の開発なども検討する。事業用不動産の家賃保証の案件獲得も進めていく。

 同社は業界最大手として、家賃保証業界の適正化にも貢献していきたいとする。「一部の家賃保証会社で裁判をせず明け渡しを行う状況がある。家賃保証会社の協会を作り、事業者がモラルを守るようにしていく必要があると考えている。当社自身が家賃保証会社としての見本になっていきたい」(迫社長)

全保連 迫幸治社長の写真

全保連
沖縄県那覇市
迫幸治社長(68)

 

(2023年11月13日1面に掲載予定)

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