管理会社への価値創出に注力 契約業務のデジタル化推進【家賃債務保証サービス①】

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賃貸経営|2023年05月30日

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 2020年の民法改正も追い風となり、利用率の高まっている家賃債務保証サービス。滞納家賃や原状回復などに対する保証範囲も充実化が進み、販売代理店となる管理会社の多様な要望にも柔軟に対応している。主な家賃債務保証会社の商品や取り組みについて紹介する。

新規申込件数120% 付加価値で差別化

 Casa(カーサ:東京都新宿区)の23年1月期決算における売上高は計画比99%の102億8600万円で着地したが、営業利益は計画比6.5%増の7億8500万円を確保した。足元の申込件数も前期比120%で推移している。

 新規契約件数で前期比407%と大きな伸びを見せた商品が個人の信用情報を活用した大手・中規模向けの「ダイレクトS」だ。外部機関が保有する個人のクレジットカード・ローンなどの情報を照会し、審査をする。20年から提供を開始し、大手を中心に各社に合わせた提案が進んだことが契約件数増加の背景にある。

 今期の成長戦略として掲げるのが、管理会社に対する付加価値の創出だ。家賃債務保証の契約だけでなく、管理業務全般を支援するシステムを提供。入居募集や家賃管理などを行うことができる。23年5月には、管理会社向けに入居者アプリ「Room(ルーム)コネクト」の提供も開始。OEM(相手先ブランドによる生産)で不動産会社が入居者とのコミュニケーションを図る際に利用する。設備や近隣トラブルの一次対応も付帯したサービスとなる。それに加えて、営業販路の拡大を目的として、同月8日に栃木県宇都宮市、10日に群馬県高崎市に、新たに営業拠点を開設した。

売上100億円突破 居住・事業用堅調

 ジェイリース(大分市)の23年3月期決算は、売上高109億6000万円(22年比19.6%増)、営業利益24億6500万円(同25%増)となり、22年に続き過去最高の売り上げと営業利益を更新した。

 年間の新規契約数は16万4000件で、22年3月と比較し1万3000件増加。売り上げは居住用が65億円(同15%増)、事業用が25億円(同21%増)となり、居住用、事業用ともに堅調に売り上げを拡大した。

 新型コロナウイルスの影響下から回復する中で、地域密着型の営業方針を掲げ、全国にある支店の営業網を活用。また、岐阜、愛媛、山口、沖縄の4県に新拠点を開設した。中長期的な視点による投資の一環として業績連動賞与を導入し、優秀な人材の確保に務めている。

 与信コントロールにより代位弁済の発生率は5.8%(22年比同)、代位弁済回収率は97.6%(同マイナス1%)という結果となった。24年3月期の決算では、23年比13.7%増の124億円を見込んでいる。

前期比31%増収 過去最高を更新

 イントラスト(東京都千代田区)の23年3月期決算の内容は、売上高64億9180万円(前期比31.3%増)、営業利益は16億2702万円(同37.4%増)となった。大幅な増収増益の背景には、家賃債務保証事業の新規契約数や、更新料の増加がある。

 同社は、家賃債務保証や医療費用保証をはじめとした保証事業と、不動産会社向けには家賃管理などの業務をサポートするソリューションサービス事業を展開する。業務ごとにサポートするソリューションサービスでは、家賃滞納の際に不動産会社が家主への賃料を立て替える場合もあり、資金面や督促業務の負担があった。その負担を軽減するため、不動産会社は家賃債務保証サービスの利用へと方針の転換を図った。これにより保証事業における家賃債務保証の契約数が伸長した結果、契約の新規・更新件数が増加。初回保証料や更新料などの売り上げが増えた。23年3月期の保有契約件数は21万409件(同43.2%増)となった。

 同社では、提携する各不動産会社の課題に沿った保証商品をオーダーメードで提供する。そのほか、不動産会社に向けたソリューションサービスとしてSMS(ショートメッセージサービス)を活用した入居者とのコミュニケーションツール「Doc‐on(ドックオン)」も提供。賃料の支払い催促や賃貸借契約の更新の案内などを行うことができる。

システム機能強化 業務効率を向上

 全保連(沖縄県那覇市)は、協定不動産会社向けに提供しているウェブシステムを改良し、「ZWEB(ゼットウェブ)2.0」として6月から提供を開始する。「必要な機能を、手厚くシンプルに提供する」を開発コンセプトに、従来システムから電子申し込み機能の強化とユーザーインターフェースの向上を図る。

 入居者がスマートフォンやタブレット、PCなどから入力した申し込み情報を、仲介会社、管理会社および全保連で連携することにより、申し込みから審査までの業務効率化を実現する。申し込みフォームは、入力必須項目とは別に管理会社ごとに取得情報を追加できる仕様にした。管理会社は入居者に申し込みフォームを送信後、返信された申し込み内容を確認の上、全保連に送ることで審査依頼が完了する。

 システムでは管理物件の情報登録・管理もできる。入居者情報をシステムに転記する必要がないため入力業務を削減できるほか、入力内容の不備を防止することで審査回答時間の短縮にもつながる。

 直感的な操作が可能なデザインに仕上げ、使いやすさを追求した。管理会社や仲介会社、入居者に対して無料で提供していく。

業務の電子化推進 手続きの負担軽減

 エルズサポート(東京都新宿区)では、電子申し込み・契約に対応した家賃債務保証商品「LACTii(ラクティ)」と、代理店向けシステム「LACTii KANRI(カンリ)」の活用による保証業務の効率化を推進している。

 LACTiiは、各種デジタルツールの活用により申し込み・契約関連業務を効率化できる商品として21年12月に提供を開始した。デジタルツールの利用有無に応じて販売代理店への手数料を変動する仕組みも取り入れ、保証契約業務の電子化を進める。

 保証内容は、賃料などの24カ月分と明け渡し訴訟費用、残置物の移管・保管などの費用のほか、賃料などの2カ月分を上限とした原状回復費用や早期解約違約金など。親会社のホームネット(同)による健康相談サービスも提供する。

 不動産管理会社向けのウェブ管理システムとなるLACTii KANRIは、申し込み・審査結果の確認や契約の管理、入金報告などの各種手続き、退去・解約などの業務においてペーパーレス化を実現する。電子口座振替登録サービスも用意。入居者は専用QRコードから手続きを行うことで書類の郵送や記入漏れへの対応が不要になり、振替開始までの時間が短縮できる。

従来商品を変更 保証内容を拡充

 フォーシーズ(東京都港区)は、23年6月1日より「4C's(フォーシーズ)テナント保証」および「4C's高級賃貸保証」の二つの商品を展開していく。

 従来商品の「ビジネスサポートシステム保証」と「住み替えかんたんシステム保証」の名称および保証内容を変更、拡充したものとなる。いずれの商品も保証範囲においては、保証する変動費の上限額を撤廃し、昨今の水道光熱費高騰にも安心できる保証内容にした。従来の契約解除後賃料の48カ月分の保証に加え、賃料と別に発生するハウスクリーニング代、更新料、更新事務手数料、違約金、原状回復費用などにおいては、賃料の2カ月分を保証する。

 4C'sテナント保証には、明け渡し後の原状回復費用などを賃料の6カ月分まで保証範囲を拡張した「4C'sテナント保証plus(プラス)」もある。

事業用不動産専門 ビル経営を支援

 事業用不動産を専門に家賃債務保証サービスを提供するスターリンク(千葉県船橋市)は07年より、ビルオーナーの目線で保証内容を充実させた「オフィス保証24」を提供している。

 滞納賃料と訴訟費用、原状回復費用、残置物撤去費用において、費目ごとに上限を設けず、総額で賃料の24カ月分相当額を保証する。大手損害保険会社との共同組成サービスであるため、最終的な保証引き受けを大手損保が行う。

 大手損保会社がサービスの共同組成に手を挙げる理由は、スターリンクの審査能力と滞納時の初動対応スピード、ノウハウを評価している点にある。事業用不動産では入居審査の際に決算書の読み込みは必須になるが、銀行からの借り入れ状況や事業における利益から単純に判断できるものではない。事業としての将来性や稼ぐ力を見極める必要があるためだ。スターリンクでは金融機関出身のスタッフによる与信調査を実施し、審査情報に不足があればテナントから直接収集するなどして2営業日以内に審査する。

 家賃支払いに遅延が発生した際には、連続滞納で債務を膨らませないために、事業の状況や対策をテナントと話し合う。コミュニケーションが取れない場合は、2カ月の滞納後すぐに催告による契約解除通知を発送する体制を構築することで、早期の退去・明け渡しを実現する。大手損保会社とのサービス共同組成以降、未回収案件および損保会社への事故請求実績はないという。

 長尾泰治社長は「ビルオーナーにとっては次のテナントを早く決めて収益確保につなげることが大事。『補う、償う』の補償ではなく、借り手をしっかりと審査して保証することが保証会社の本来の役割であることから、万が一滞納があれば迅速に解決するのが当社の責任であり役目だ」と話す。

店舗運営もサポート 長期入居を図る

 コンテンツ配信やテナント支援事業を行うUSEN-NEXT GROUP(ユウセンネクストグループ:東京都品川区)のUSEN(同)は、20年4月より事業用家賃債務保証「テナント家賃保証」を展開している。

 オーナーに対し、賃料の24カ月分の金額を保証する。初回保証委託料は賃料の1カ月分の65~100%までの範囲で、不動産会社が任意に設定でき、年間保証委託料は賃料の10%かつ1万円以上だ。契約更新時に賃料を滞納しなかった事業者には、更新料が無料になる「優良割」を適用する。

 保証範囲は、賃料や原状回復費用などに加え、早期解約違約金や解約予告違約金も含む。明け渡し訴訟にかかる費用の保証の上限はない。保証内容を手厚くすることで、契約率の上昇を図る。

 特徴は、テナントが保証サービスに加入後、USEN‐NEXT GROUPが展開するサービスで店舗開業・運営支援を行う点だ。テナントの事業運営を支えて、長期的な入居を狙う。退去時の原状回復工事もサポートする。

 23年1月には、不動産会社向けの管理システム「USEN Guarantee Web(ギャランティウェブ)」の提供も開始。各種申し込みや申請、契約内容の管理を同システムでできるようになった。

 ギャランティビジネス部の富田晃部長は「USEN Guarantee Webにより、家賃債務保証のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を図る。テナントのメリットだけを訴求していくのではなく、システムを提供することで、不動産会社もテナント家賃保証を利用しやすい土壌を整えていく」と語る。

日本賃貸保証、保護施設に1000万円寄付

生活困窮者の支援継続

 「公正で公平な社会づくり」を企業理念に掲げる日本賃貸保証(千葉県木更津市)は3月、家庭内暴力などの被害を受けた女性の保護施設「かにた婦人の村」に1000万円の寄付を実施した。寄付金は入所者が住む施設の建て替え費用に充てられる予定だ。

 同施設は1965年に開設。虐待や性暴力など、回復に時間のかかる被害を受けた女性を全国から受け入れ、自立支援を行っている。現在は46人が施設で生活する。2019年の台風により建物が損傷を被ったため建て替えを決めたものの、自治体の補助金や自己資金では建て替え費用を賄い切れないことを伝える地元紙の記事を見て、寄付を決めた。かにた婦人の村では現在、建て替え予定地の整地を行っており、24年春頃に新棟への入居完了を予定している。

日本賃貸保証 梅田真理子社長、かにた婦人の村訪問時の写真

かにた婦人の村訪問時の様子

 日本賃貸保証では、20年からコロナの感染拡大が原因で収入が減った生活困窮者への現金給付活動を開始した。現在は「ビレイヤープロジェクト」と名称を変え、困窮世帯への現金給付活動を継続中だ。累計支援件数は1203件、給付額は総額で7300万円を超える。梅田真理子社長は「物価が高騰している中、支援は引き続き行っていきたい」と話す。

日本賃貸保証 梅田真理子社長の写真

日本賃貸保証
千葉県木更津市
梅田真理子社長(51)

 

 

グローバルトラストネットワークス、外国人向け保証、需要好調

23言語で生活サポート

 国内総人口の2.2%にあたる在留外国人。割合は少ないものの、2023年5月に出入国在留管理庁が発表した22年末時点の在留外国人数は307万5213人と、初めて300万人を突破した。70年には9人に1人が外国人になるとの予測も出ており、今後も在留外国人のマーケットが大幅に伸びていくことは必至だ。

 外国人専門の保証サービスを展開するグローバルトラストネットワークス(以下、GTN:東京都豊島区)は、23年6月期における各種生活支援事業を含めた全体の売上高が、22年同月比53%増の40億円で着地すると予想する。コロナ下で一時的に落ち込んだサービス需要は、同年3月ごろから国の水際対策の緩和とともに回復してきた。23年4月には国内7拠点目となる福岡営業所を開設し、サービスのさらなる普及を図る。

GTN Assistants for Bizの説明

 不動産業界において消極的だった外国人入居者の受け入れだが、特に大手企業においては受け入れない企業が少数派になりつつある。一方、家賃トラブルのあった入居者と同じ国籍だという理由だけで審査を通過させない保証会社もあるなど、個人の属性に対する審査や滞納発生時の督促におけるノウハウを豊富に持つ保証会社は少ない。

 GTNは、累計25万件の保証実績を持ち、23カ国語にも対応。審査・回収によるリスクマネジメントを行い、年間9万件の外国人入居者の相談を解決している点でオーナーや管理会社からの支持を得ている。

 7月1日には事業用不動産を対象にした従来の保証商品を刷新し、新たに販売を開始する。居住用、事業用の双方で拡大する外国人市場の賃貸ニーズに応える。

グローバルトラストネットワークス 後藤裕幸社長の写真

グローバルトラストネットワークス
東京都豊島区
後藤裕幸社長(44)

 

(2023年5月29日10・11面に掲載)

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