入居者からのクレームに、賃貸管理会社が頭を悩ませている。社員が退職する事例もあり、対策は急務だ。各管理会社が、クレームにどのように対応しているのか聞いた。
社員の心理的安全性、最優先に
今回取材した賃貸管理会社は、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心とした9社。最も規模の大きな会社が神奈川県で2万3000戸、また小規模な会社は東京都で2500戸を管理している。各社には「どのようなクレームが長期化するのか」「どのような体制で、そのクレームに対応しているのか」「会社の中でクレームに対応しているのは誰か」の、三つのポイントについて聞いた。
まずクレームの内容は、設備関連とモラル関連の二つに分けられるという。設備関連の具体例では、エアコンや給湯器のほかインターホンなどの不具合が、またモラル関連では近隣騒音やごみの捨て方、違法駐車によるトラブルなどが挙げられた。取材ではモラルクレームのほうが例として挙がりやすく、印象に残っているようだ。長期化しやすいのは、後者のモラルクレーム。設備に関するクレームは、その設備の交換や修理などを行うことで不具合を解決するというゴールが見えるが、騒音トラブルなどは長期化しやすく、解決策が見つからないこともある。クレーム件数全体で見れば、モラルクレームのほうが少ないが、現地対応も含め対応が長期化しやすく、社員の拘束時間も長い。