【実態調査】賃貸管理が売上高に占める割合って?一人当たり管理戸数の普通は?①

住みかえ情報館, 三幸, 湘南宅建

管理・仲介業|2020年11月26日

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『住みかえ情報館』の店舗

 ストック収入となる賃貸管理業を伸ばしたい会社は多いだろう。だが、管理業務の収益構造や人員構成などは各社で大きく異なり実態が不透明だ。そこで本紙は管理会社12社を取材し、売上高に占める管理業の割合や一人当たり管理戸数の実態・各社の課題などを調査。第1回目の今回は住みかえ情報館、三幸、湘南宅建の3社を紹介する。自社との比較や組織作りに役立ててほしい。

住みかえ情報館、社内システム構築で効率化図る

督促や業務報告書作成の負担軽減

 管理戸数5160戸の住みかえ情報館(福井県越前市)は、売上高が約13億円のうち、賃貸管理が32%と最多を占めている。次にリフォーム、自社物件の家賃収入と続く。従業員数90人のうち賃貸管理部は15人、賃貸仲介の部署は25人で構成し、福井県で6店舗を運営している。

住みかえ情報館 基本情報・賃貸管理まとめ

 管理物件は福井県全域に広がり、新築から築30年以上まで幅広く管理している。家賃相場は単身者向けで4万5000円、ファミリー向けで5万5000円だ。

 管理手数料はオーナーが収支を確認しやすい定額制を採用。1戸2000円で管理を受託している。管理業務は、月に1 ~2回の定期清掃、入居者募集、クレーム対応、家賃回収、更新手続きなどを行っている。

 近年は、管理業務の効率化を図るために、社内システムの構築と強化を進めている。家賃の督促や、オーナーに郵送する業務報告書の作成時に社員の負担を減らすことができている。

 例えば、家賃の督促は社内システムを利用することで管理物件の滞納者に一括でショートメールを送信できる。本来であれば滞納者一人ひとりにメッセージを送信するほか、架電や自宅訪問が必要になる。また、オーナーへの業務報告書は、入居者対応やオーナーへの確認事項など、社員が日々の業務でPCに打ち込んだ社員間の履歴をもとに社内システムで作成。業務報告書のためだけに手打ちして作成する必要がない。

 林洋三社長は「社内システムの構築により当社では経理などのデータ入力専門の担当を設けていない。年間120日の休日で、社員1人当たり年間600万円の経常利益を創出するなど業務効率化につながっている」と語る。

住みかえ情報館 林洋三社長の写真

住みかえ情報館
福井県越前市
林洋三社長(62)

 

 

三幸、管理人員の拡充を目指す

在宅時間増加で入居者対応強化

 管理戸数5146戸の三幸(群馬県高崎市)では賃貸管理にかかわる各種業務を「トータルサポート」というサービス名で請け負っている。内容は、入居募集・対応、退去管理、建物維持管理(定期点検・清掃、設備点検、消防など法定点検、空室管理、駐車場・外構管理)と多岐にわたる。契約する大半の家主が同プランを選択する。管理手数料は5%。

 群馬県内に店舗を3拠点設け、社員は約50人。売り上げ構成比は賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介の順。賃貸管理部門は16人を配置しており、オーナー営業の担当者は8人。営業1人当たりの管理戸数は約600戸という計算になる。

三幸 基本情報・賃貸管理まとめ

 コロナ禍で入居者の在宅時間が増したことで騒音クレームなどのトラブルが増えている。対応に追われるため、赤尾貴之取締役は「従業員数は十分とは言えない」と課題を感じているようだ。今以上に、空室対策やリフォームといったオーナーへの提案ができる体制構築を目指していく。

 管理物件の受託経路はさまざま。年2~3回開催している家主向けセミナーのほか、既存の家主や金融機関からの紹介案件も多いという。

 

湘南宅建、創立52年目、湘南で3千戸超を管理

課題は家主の世代交代対策

 管理戸数3264戸の湘南宅建(神奈川県鎌倉市)では、賃貸管理事業の売り上げが全体の40%と最多を占める。次点に売買・賃貸仲介、リフォームと続く。創立52年目の同社は、湘南エリアに根付いた地場企業としてオーナーとの信頼関係を地道に構築してきた。

湘南宅建 基本情報・賃貸管理まとめ

 JR東海道本線「大船」駅近辺に拠点を構え、賃貸管理エリアは鎌倉市、横浜市栄区、逗子市、藤沢市一帯。全従業員14人のうち、賃貸管理業務に関わるスタッフは3人。いずれも営業・事務は兼任している。物件管理はオーナー担当制。仲介部門のスタッフ10人を含めた全13人で1人当たり約60~70件を担当する。

 管理手数料は家賃の5%だ。管理物件の平均家賃は、単身向けで4万~6万円。ファミリー向けで6万~8万円という。

湘南宅建店舗の外観写真

同社の店舗外観

 今後の課題はオーナーの世代交代対策だ。渡邉聖司社長は「2代目オーナーは、管理手数料の安さを重要視する傾向にある」と語り、業務の延長だけで関係をつなぐことが難しくなると予想する。接点を増やすために、オーナー向け相続対策セミナーを月2~3回開催。3年前から始動し、相続支援コンサルタント資格を持つ社員が主導する。

湘南宅建 渡邉聖司社長の写真

湘南宅建
神奈川県鎌倉市
渡邉聖司社長(61)

 

(11月23・30日4面に掲載)

おすすめ記事▶『【その1】賃貸仲介の実態、各社ごとにどう違う?』

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