ブリックタイルを再生し、建物の歴史と味わいを継承
2014年06月26日 | リノベーション
バランスを統一した外観が、近隣住民にも好評
岩崎興業地所(神奈川県横浜市)は今回、築40年を迎える「岩崎ビル」の外装を全面的にリノベーションした。年月を経て傷みや汚れが目立ってきた建材を再生させることで、建物が持つ歴史や愛着を継承する狙いをこめた。
敷地面積339.86㎡に立つRC造4階建てで、総戸数は14戸。建物全体を覆うブリックタイルは、長年の風雨で表面保護材が剥離。表面は白っぽく汚れ、目地は毛羽立っていた。このブリックタイルを活かそうと提案したのは、リノベーション事業を手掛けるNENGO(神奈川県川崎市)だ。「約3週間かけてタイルを1枚1枚磨き、鮮やかさを取り戻すと同時に経年による『味わい』を残した」(NENGO:中村彰氏)という。
【タイル表面をサンダーで磨くと色味が蘇る】
次に着手したのは建物全体の配色だ。エントランスの柵と廊下の手すりは白から黒へ。
共用部の廊下の床は緑からグレーに変更。各部屋の玄関ドアは薄紫から黒へと塗り替え、ブラックをベースにしたダークカラーにし、バラバラだった色遣いに統一感を出した。
ダクトカバーや配電盤ケース、エントランスにある掲示板も黒に塗装するほど細部にまでこだわった。
もともと塗装が施されていた建物の一部分は、朱色のボーターズペイントで塗装を施した。内装に使われることの多いこの塗料は、温もりを感じる柔らかい風合いが特徴だ。
今回は、レンガのような朱色を採用し、建物全体の色味と温もり感を出した。
見せ方にこだわり、景観に配慮した今回の外装リノベーションは約3ヶ月の期間を要して4月に竣工した。
「歴史を感じさせる建物であると同時に、人からの愛着も重ねていきたい」と話す岩崎興業地所の岩崎祐一郎氏。
今では近隣住民や入居者から「街が変わった」「友人を呼びたくなる」などの声が上がるという。
【before 看板や室外機が建物の印象を悪くみせていた】
【after 外観がすっきりし、色味は鮮やかになった】