人材難による仲介会社売上難をどう回避するか ~成約減の理由1位「仲介担当スタッフの減少」~

管理・仲介業|2023年03月08日

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 当紙3月6日号掲載の「繁忙期速報2023」では、全国の不動産会社を対象に、繁忙期の動向についてのアンケートを実施しました。その中で、仲介成約減少の理由の1位が「仲介担当スタッフの減少」との結果になりました。人材不足が不動産業者の業績に影響を及ぼし始めています。

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調査期間:2月7日~3月16日 総回答数:86
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 成約減少の理由として回答があった86件のうち、「仲介担当スタッフの減少」が30件、2位「コロナ禍の影響」が28件、3位「法人契約の減少」が23件でした。新型コロナウイルスによる影響が下火になってはいるものの、仲介件数減少の主な原因として、人材不足の課題が露呈する結果となりました。

若年層の確保厳しく 地方中心に深刻化

 賃貸仲介事業における人材不足は、地方の不動産会社には特に深刻な問題です。京都市内の不動産会社社長は「求人は常時出しているが、40~50代からの問い合わせがほとんど。要望に合う人材からの応募がない」との声が上がっていました。また、九州エリアで仲介店舗を複数運営する仲介会社からも「若年層は福岡市中心部や東京での就職を希望者が多い。地元に残りたいという人は年々減っている」と人材難についての苦悩を吐露していました。

 賃貸仲介の業務は、体力仕事の側面があり若手社員が抜擢されることが多いため、企業側が求める人材とのミスマッチが起こっている実態です。

最小限の人数で仲介事業を展開する取り組みに注目

 人材不足に直面する中で、仲介会社はどういった戦略を図っているのでしょうか。
日本エイジェント(愛媛県松山市)では、部屋探しから契約・鍵渡しまで全て来店不要で対応する「サテライトリーシングチーム」を結成し、仲介事業を伸ばしています。WEB接客やVR内覧のほか、セルフ内覧サービスを提供することで、店舗を不要とした賃貸仲介を展開しています。

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オンラインで接客や内覧も提案する。

 また、分業化に舵を切る仲介会社も出ています。ファースト・コラボレーション(高知市)では、21年にウェブ集客対策の専門部署を正式に整備。ポータル出稿対応、反響対応、自社サイト運営、写真撮影に細分化して、各業務専任のスタッフを配置しています。これまでは1人のスタッフが業務を兼任する形でしたが、負担が大きかったため、現在の形を取り入れています。


 人材不足の追い風は、さらに強くなると予想されます。今回取り上げた2社のように、人材不足の中でも仲介件数を伸ばす仕組みを、いかに構築できるか。既存の業務に新たなシステムをいかに取り入れられるかなども、今後の賃貸仲介事業を伸ばすための肝となりそうです。

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