管理会社と家主は対等の立場、管理を手離した方がいい場合

【連載】プロパティマネジメントで切り開く未来 第131回

管理・仲介業|2019年12月09日

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適切な管理を行うために割り切る判断も大切

 今回は、ちょっと言いづらいことを書く。この全国賃貸住宅新聞は業界関係の方々だけでなく、不動産オーナーの方も読んでいると思うので、今回のテーマを書くのは迷ったのだが、管理会社の方にとっては大事なことなので書くことにした。

 弊社はこの夏、いままでで最高の稼働率を達成した。東京23区で98.4%になったのだ。逆の空室率という観点では1.6%ということになる。空室率2.0%が空室期間で約1カ月分に相当するので、1.6%ということは、平均約24日間の空室期間しかないということになる。いままで弊社は96~97%程度で何年も推移していたので、8月末で98.4%になり、その後この11月になるまで一応98%程度を維持しているというのは弊社としてはとても意義のあることなのだ。

 高稼働率になった理由はいろいろあり、たとえば最近市況が悪くないということもあるが、一番の理由は、ここ2年くらいで実は採算の悪い物件を1000戸以上手放したことが大きい(現在の総管理戸数は6718戸)。管理を離したのだ。「お客さまは神さまです」といわれるような風潮の中、お客さまをこちらから断るという行為は非難の対象かもしれない。しかし、会社経営の観点からみて私は決断した。物件ごとの収支が悪い物件の各オーナーに対して、管理手数料の値上げや、また仲介業者に支払うAD(Advertising fees:広告料)をいままで弊社が負担していたものを、不動産オーナーに負担をお願いしたりした。お願いを聞き入れてもらえなかった物件に関しては、結果、管理をお断りするということをしたのだ。

 いろいろな経緯で管理受託契約をしてきたわけだが、その中で弊社が無理をしてしまったということもあるし、どうしても断れない状況にもあった物件もある。弊社の責任も当然あるのだが、何年もおつきあいをしてきて、これ以上管理を続けるのは会社として問題があると判断した。思い切った決断ではあったが、クライアントと会社との関係は決して「上下関係」ではないと思うのだ。ご縁があったクライアントから「適正な費用をいただいて、それに見合うサービスを提供する」という意味においては、「フィフティ・フィフティ」ではないだろうか。

 お客さまには無理をしてでもサービスをし続けなければならない、ということではない。会社は利益を追求するところではないだろうか。

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