2017年12月に改正された不動産特定共同事業法(不特法)に造詣が深いのがサタスインテグレイト(東京都中央区)の佐藤一雄社長だ。バブル崩壊後、不動産会社が資金を調達する手法としての不特法の成立に力を尽くし、三井不動産退社後に独立してからも同法を活用する事例をつくっていきたいと『ゆうゆう倶楽部』を企画した。現在では、全国の不動産会社に不動産小口化商品のコンサルティングを行う第一人者の登場だ。
不動産鑑定から有効活用まで顧客のニーズに幅広く対応
佐藤 実は10年ほど前に、御社グループの新聞『ビル経営』の取材でお会いしました。92歳とお聞きしましたがお元気ですね。
亀岡 周りの知り合いがだんだん少なくなってきました(笑)。
佐藤 知り合いに共同通信出身の方がおり、もう93歳なのですが国土交通省の担当者を集めて朝7時から勉強会を行っていますよ。
亀岡 共同通信なら、もしかしたら記者時代に会っているかもしれませんね。不動産業界の名物経営者である住友不動産の安藤太郎氏は長生きでした。
佐藤 確か100歳近くまで現役でしたね。
亀岡 佐藤社長はどのような事業を手掛けているのですか。
佐藤 不動産の鑑定や有効活用の提案、売買仲介、管理まで幅広く行っています。社員5人で売り上げが前期で7億1800万円でした。最近は、不動産特定共同事業法(不特法)関係のコンサルティングの引き合いが増えています。この3年ほどで、上場企業も含め16社で不特法の許認可取得の支援をしてきました。当社でも、不動産の小口化商品『ゆうゆう倶楽部』を提供しています。1号案件は、運用期間が2008年3月から10年4月までの2年2カ月で年換算利回りは7.03%になりました。
亀岡 どのような仕組みの商品なのですか。
佐藤 不特法にもとづき、投資家と匿名組合契約を結びます。投資家から集めた資金で不動産を取得し、その運用による賃料収入を投資家に分配します。『ゆうゆう倶楽部』の第1号では、一口100万円で、最低出資額300万円に設定し、総額1億1000万円を投資家から集めました。都内を中心に駅徒歩10分圏内の中古マンション21戸を取得し運用。賃料利益から年利回り4.63%、売却で出た利益分で2.4%を投資家に分配することができました。年に2回の支払いを行っています。
サタスインテグレイト
佐藤 一雄 社長
1939年6月東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、64年に三井不動産入社。86年に三井不動産販売に出向し、日本初の不動産小口化商品を証券化。90年に不動産シンジケーション協議会(現・不動産証券化協会)の設立に奔走。94年、同協議会の初代専務理事。不動産特定共同事業法などをはじめとした立法活動を推進。99年、三井不動産退社後にサタスインテグレイトを設立し代表取締役に就任。
- サタスインテグレイト
- 本社所在地 : 東京都中央区日本橋室町1-8-3 室町NSビル6階
- 設立 : 1999年7月1日 社員数 : 5人人 資本金 : 1億円円
- 事業内容 : 不動産ファンドの組成、不動産売買、仲介。不動産のデューデリジェンス、不動産特定共同事業法に関するコンサルティング。
経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。