賃貸住宅フェア2022　開催レポート

藤原住宅サービス,CIWS(シウス),大和リース,クレスト,奥井組,東洋エステートサービス,アーバン企画開発,イズミ,三好不動産,絹川商事,大東建託,ウスイホーム,平和建設,CBRE(シービーアールイー)インベストメントマネジメント・ジャパン,公益財団法人日本賃貸住宅管理協会,リクルート

管理・仲介業|2022年08月17日

　当社は7月26、27日に、東京都江東区の「東京ビッグサイト」で「賃貸住宅フェア2022」を開催。2日間で1万940人が来場した。70超のセミナーや、172社の出展ブースがあり、新型コロナウイルス下ではあるが情報収集に熱心な家主や不動産会社らが足を運んだ。

2日間で来場者1万940人

3年ぶりとなる東京ビッグサイトでの開催に全国から来場者が訪れた

人気のセミナーでは立ち見客が会場からあふれた

各ブースでは名刺交換が盛んに行われた

実演を行うブースも見られた

大規模修繕を検討　定額制サービスに関心

　東京都世田谷区や神奈川県川崎市などにアパートや区分マンションを計53戸所有する池上正芳オーナー(東京都世田谷区)は、大規模修繕を検討しており、関連の出展ブースを目当てに来場した。池上オーナーは「配管専門の事業者や修繕の定額制サービスに関心を持った」と話す。

　セミナーについては、自身と同業のオーナーが登壇するものに注目。知り合いのオーナーの応援も兼ねて駆け付けたという。

池上正芳オーナー(61)
東京都世田谷区

不動産市況のマクロ視点の情報有益

　資産管理法人である藤原住宅サービス(東京都新宿区)の藤原潤代表社員は、情報収集のため来場。出展ブースでは、主に管理会社や清掃会社のブースに足を運んだ。

　セミナーではポータルサイトを運営する3社の「データで振り返る、知っておきたい最新の賃貸市況」と、ニッセイ基礎研究所の「今後のオフィス市場動向と住宅市場への影響」の二つが有益だったという。「普段の生活では得られないマクロ的な視点で不動産市況の情報を得られたところが収穫だった」(藤原代表社員)

藤原住宅サービス
東京都新宿区
藤原潤代表社員(48)

母の相続を準備中　電子契約の理解深まる

　親族と共同で100戸の賃貸住宅と100坪の駐車場を所有する藤﨑裕久オーナー(北海道札幌市)は、2日間来場し多くのセミナーを聴講した。

　藤﨑オーナーは、現在母の不動産持ち分の相続準備を進める。今回は、民法改正や税制改正、家主の体験談のセミナーをメインに聴講した。相続に関しても参考になる内容があったという。

　ほかにも、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進や電子契約についてのセミナーも聴いた。「管理会社がどのように電子契約を進めているのか知ることができた。電子契約なども人任せにせず、自分で情報を理解することが重要だ」(藤﨑オーナー)

藤﨑裕久オーナー(65)
北海道札幌市

スマートキー目当てに福岡から参加

　福岡県内で賃貸管理を行うCIWS(シウス:福岡市)の白水清裕社長は「全国賃貸住宅新聞」や家主仲間から賃貸住宅フェアの開催を知り来場した。「以前は福岡でもあったが、最近は行われていないので、東京まで来た」と話す。特に関心を持つのが、最近全面解禁された電子契約とスマートキーについての情報だ。白水社長は「オーナーとしてDIYをすることもあるので、同時開催の『リフォーム産業フェア』も建材や設備で参考になるところが多かった」とコメントした。

CIWS
福岡市
白水清裕社長(41)

同時開催で初来場　「今後も併催希望」

　大型テナントや工場・倉庫のプレハブ建築などを手がける大和リース(大阪市)千葉支店の規格建築第一営業所営業二課の木村舞氏は、初めて賃貸住宅フェアに来たと話す。

　同フェアと同時開催の『テナント・土地活用展』の出展ブースを見て回り、情報収集や出展者との名刺交換ができたと成果を実感。ほかにも、同社が社屋の建築を担当した企業が出展していたといい、あいさつに回った。「これまで『高齢者住宅フェア(現住まい×介護医療展)』に来場していたが、合同開催だと来場者の数が多く活気がある。今後もほかのフェアと同時開催してほしい」(木村氏)

大和リース
大阪市
千葉支店規格建築第一営業所営業二課
木村舞氏(29)

出展者の声

クレスト、賃貸向け床材、家主に好評

　内装材メーカーのクレスト(東京都中央区)は、賃貸住宅向けの床材と接着剤の周知を目的に出展した。想定の3倍を上回る700冊ほどのパンフレットを来場者に直接配布できた。「施工見本に直接触れてもらうことで、対面ならではの情報を伝えられた」(岸稔社長)

床材の実物や施工見本を用意しPR

奥井組、高耐久の建築商品を訴求

　建築事業などの奥井組(埼玉県入間市)は、2×4(ツーバイフォー)躯体にスチール素材を使用するCFS工法などを家主にアピールした。「CFS工法の知名度が低い中、多くの家主にその強みや魅力を周知できた」(CFS建築事業部藤澤幸隆本部長)

CFS工法などの同社商品をブースで紹介した奥井組

オーナー通信コンテスト

最優秀賞は東洋エステートサービス

　26〜27日にかけて行った「オーナー通信コンテスト」には、36社の管理会社が応募。最優秀賞には東洋エステートサービス(東京都調布市)が、優秀賞にはアーバン企画開発(神奈川県川崎市)が来場者投票によって選出された。新聞編集部が選ぶ編集部賞には、イズミ(滋賀県彦根市)が採択。

東洋エステートサービスが最優秀賞を受賞した時の様子

全賃SDGsアワード

最優秀賞　三好不動産、絹川商事

　1日目の7月26日には主催者企画として「全賃SDGsアワード」の最終審査が行われ、大企業部門では三好不動産(福岡市)が、中小企業部門では絹川商事(石川県野々市市)が最優秀賞を受賞した。三好不動産は取り組みが業界でモデルとなる「普遍性」を持つ点が、絹川商事は社員やパートナー企業など多くの関係者を巻き込む「参画性」が評価された。

登壇した6社と審査員の集合写真。最優秀賞は大企業部門では三好不動産が、中小企業部門では絹川商事が獲得した

　大企業部門で大東建託(東京都港区)が優秀賞を、ウスイホーム(神奈川県横須賀市)が審査員特別賞を受賞。中小企業部内で平和建設(埼玉県戸田市)が優秀賞、CBRE(シービーアールイー)インベストメントマネジメント・ジャパン(東京都千代田区)が審査員特別賞を受賞した。

　同企画では賃貸住宅業界におけるSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みから優れたものを募集・表彰。二部門で計30社から応募があり、その中から一次審査を通過した6社によるプレゼンテーションと最終審査を同フェア内で実施した。

　最終審査では公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(東京都千代田区)の荻野政男常務理事、リクルート(東京都千代田区)池本洋一SUUMO編集長、国土交通省不動産・建設経済局の峰村浩司参事官、全国賃貸住宅新聞編集部デスクの河内鈴の4人が審査員を務めた。

家主のSDGs座談会

持続的社会に挑む家主が登壇

　「家主と地主プレゼンツSDGsAWARDS(アワード)」の受賞したオーナーによる座談会を2日間にわたり開催。初日は安藤勝信氏、大澤俊信氏、原勝己氏が「不動産は未来からの預かりもの。時代に合った形で運用をするべきだ」と語った。2日目は木村憲司氏、越水隆裕氏、長谷川大氏が地域活性と賃貸経営のつながりについて語った。