SEを採用しシステム自社開発
3450戸を管理するアスタ(北海道札幌市)は、基幹システムを自社開発し、管理業務の生産性を高める。2017年からDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進してきた。結果、紙のやりとりや電話対応の業務が軽減し、従業員の残業時間が繁忙期でも月平均1~2時間削減できている。
同社の基幹システムは22年に完成し、その後は順次機能を追加している。管理業務に関わる顧客管理から社内の経費精算まで、200以上の業務を一元管理する。システム開発のために、システムエンジニア(SE)を採用した。
特徴の一つは、オーナー向けの機能を充実させている点だ。管理を受託するオーナーに対し、基幹システムの一部を開放し、所有物件の月次収支レポートを閲覧できるようにした。
詳細な空室のリーシング状況も公開。また空室数をカウントし、各住戸の反響数を可視化した。赤平大地取締役は「閲覧数は高いが反響数が低い住戸の分析ができ、賃料設定を判断する材料にもなる」と話す。加えて、修繕履歴と工事費用のデータも住戸単位で紐づけし、閲覧可能とした。同データは、新たな工事提案の際に活用している。
月次の明細はオンラインで閲覧でき、PDFデータでダウンロードが可能。約90人の管理受託オーナーのうち、法人や高齢者を除く8割がオンライン明細を活用しており、紙の印刷代や郵送費といったコストも削減できている。同明細は、機能提供を開始した22年以降、過去10年分をアーカイブできるよう設定している。
現在は20人の従業員を抱え、管理担当1人あたりの管理戸数は826戸だ。「6月には、体制変更を実施し1人あたりの管理戸数は1150戸となる予定。人材の追加をしなくとも業務が進められる状態を維持できている」(赤平取締役)
アスタ
北海道札幌市
赤平大地取締役(34)
(2024年4月15日1面に掲載)