改正住宅セーフティネット法 登録進まず全国621戸

改正住宅セーフティネット法が2017年10月25日から施行され半年が経過したが、国交省への取材で目標値に比べ賃貸住宅の登録数が伸びていない現状が明らかになった。原因は煩雑な登録申請業務や、家主や不動産会社への認知度が低いことにあるようだ。国交省は登録数を増やすべく登録業務簡素化の検討に乗り出した。
「2020年までに登録数17万5000戸」と目標を掲げてスタートした『住宅確保要配慮者向け賃貸住宅登録制度』は、低額所得者や高齢者、障害者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録するもの。
国土交通省によると、3月末現在の登録件数は80件、621戸だ。目標数よりもはるかに少ない数の登録しか進んでいない。エリア分布では大阪府が237戸で最も多く、次いで山梨県88戸、岡山県54戸、鹿児島県50戸、兵庫県37戸で、この5府県で全体の3分の2を占める。
この登録数は要配慮者の入居を拒まない「円滑住宅」で、要配慮者のみを最低10年間受け入れる「専用住宅」は218戸だ。専用住宅に限り自治体や国から改修費、家賃、家賃債務保証加入費用の補助を受けることができる仕組みだ。
住宅局安心居住推進課は「目標には程遠く、予想以上にゆっくりとしたペースで推移している。制度の周知が全国規模でなかなか進んでいないのが大きな要因と考えられる。また登録業務に手間がかかるという声も聞いているため、簡素化できないか検討を始めた」としている。
登録を行うのは家主や管理会社などの賃貸人だ。インターネット上の申請書に記入したものを都道府県や政令指定都市の自治体窓口で提出するか、直接自治体の窓口に足を運び、申請書を記入して提出する。ただこの登録業務が煩わしいようだ。
最も登録件数の多い大阪市は、従来からあった独自制度の登録住宅の移行を進めてきた。従来制度には約8200戸が住宅確保要配慮者向けの住宅として登録されており、そのうちの約半数が今回、国交省が整備した「住宅確保要配慮者向け賃貸住宅登録制度」に適応するという。半年で237戸が登録済みの状況について、「大阪独自の制度内容と趣旨が一致しているため、理解を示すオーナーや不動産会社はいるものの、登録作業に手間がかかることが障壁になっている」と大阪府担当職員は語る。


セーフティネット住宅登録事務局が運営するポータルサイト上でも登録申請書の作成ができるが、項目は多岐にわたる。建物の住所、間取りなどの基本情報、各設備の有無、周辺情報、管理の方法、受け入れる入居者の範囲など。入力方法を説明するマニュアルは66ページにわたるボリュームだ。自治体に提出する書類も部屋の平面図や耐震性を証明するものなどが必要。高齢のオーナーが一人で登録を行うのは難しいことがわかる。
補助金を支給するため厳格な審査が必要になるが、登録が進まなければ要配慮者の住まい確保は困難なままだ。改正前や自治体独自の制度で登録されている住宅の情報をそのまま流用できるような仕組みが求められている。

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