東日本地所、戸建て賃貸強みに売上33億円【上場インタビュー】

東日本地所

インタビュー|2024年04月18日

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東日本地所 さいたま市 黒岩 主信 社長(47)

 戸建て賃貸の建築を手がける東日本地所(さいたま市)が、TOKYO PRO Market(トウキョウプロマーケット)に上場した。2016年に設立し、約7年半での上場だ。急成長を遂げた理由を、黒岩主信社長に取材した。

設立8年目、東京プロマーケへ

土地活用を提案 受注棟数は720棟に

 東日本地所は、導入設備のグレードを高めた戸建て賃貸商品を企画・建築し、売り上げを急速に伸ばしてきた。埼玉県内をメインの商圏とし、地主系オーナーに土地活用のための戸建て賃貸の建築を提案。リーシングや竣工後の管理もすべて自社で行う。

 主力商品は、入居者視点を重視した戸建て賃貸シリーズ「グランソフィア」だ。97〜98%の高入居率を維持していることを強みにオーナーに提案を行い、設立から累計720棟を受注した。

 本体価格は1400万〜1500万円で、表面利回りは8%前後を目安とする。23年8月期の売上高は前期比14.5%増の33億8144万円となった。そのうち戸建て賃貸の建築事業は約7割を占める。経常利益は同30.8%増の3億1392万円。

 従業員数は97人で、オーナーへの提案を行う営業社員は50人ほどだ。

東日本地所 売上高の推移

「庭付き」訴求要素 平均家賃は15万円

 同社の成長の理由について、黒岩社長は「住まいの環境や設備を求める時代になったのではないか。そのニーズに当社の戸建て賃貸が合致した」と推測する。

 同シリーズは「入居者満足度の向上」をテーマとし、長期入居が見込めるファミリー層を主要ターゲットとしている。

 提案するエリアは、東京外環自動車道から首都圏中央連絡自動車道の間をメインとしている。

 敷地面積が約100㎡の土地に、住戸面積75〜90㎡、間取り3LDK〜4LDKで建てる戸建て賃貸を規格化。

 基本的に、敷地内には庭や2台分の駐車場を付けている。庭を付けることで休日に家族や友人らとのバーベキューや、家庭菜園、洗車などを行えることが、アパートやマンションのような集合住宅との差別化になる。

 黒岩社長は「戸建て賃貸という形態自体が、集合住宅と比較したときの差別化要素になっている。庭のスペースを集合住宅で確保するのは難しいが、戸建て賃貸において子育て世代は、集合住宅に住んだ場合より騒音を気にせず暮らすことができる」と話す。

 住戸内には、グレードの高い浴室や洗面台などの水回り設備を導入する。例えば浴室には、足が伸ばせるような浴槽を標準採用する。暮らし続けたいと思わせるような設備で、物件の価値を高めるようにしていることが、高入居率の維持につながっている。

東日本地所の主力商品グランソフィア

東日本地所の主力商品グランソフィア

 家賃は、エリアにもよるが平均で15万円ほど。入居者は高所得層のファミリーが多い。

 同シリーズの物件は、着工からおよそ4〜5カ月程度で竣工する。基本的に工事期間内に入居者の確保ができており、入居者ニーズをつかんでいると手ごたえを感じている。

 主力商品に戸建て賃貸を選んだ背景には、黒岩社長自身の経験が生かされている。

 黒岩社長は、元々地主系オーナーに土地活用としてアパートの建築を提案する大手不動産会社に、14年間勤務していた。

 「長年営業に従事する中で、競合したときにいつも勝てなかったのが戸建て賃貸だった。その経験から需要の高さを感じ、起業後は戸建て賃貸で勝負しようと決めていた」と話す。

 16年に同社を設立後、And Do(アンドドゥ)ホールディングス(東京都千代田区)が展開する新興不動産向けフランチャイズチェーン(FC)「ハウスドゥ」に加盟し、不動産購入を検討するユーザーを集客するノウハウを学んだ。

 加盟当初は実需向けの不動産売買仲介をメインに不動産に関する情報収集を行い、18年に本格的に戸建て賃貸建築にかじを切った。

 ほぼ毎年増収を続け、売り上げを伸ばす東日本地所。設立から5年目の21年8月期に、黒岩社長を含む幹部らが上場を視野に入れ準備を進めることを決めたという。

建材高も収益維持 内製化で費用抑制

 オーナーへの訴求要素として、高い入居率のほか、比較的安価な施工費で提供できていることを挙げる。費用を抑制できているのは、現場監督を自社で雇用し外注費を抑えていることが大きな理由だ。現場監督は6人を雇用する。

 一方で、コストを抑えるのにも限界があると考え、ウッドショック以降の建材高により高騰したコスト分を踏まえ、販売価格を15%ほど上げた。戸建て賃貸の相場家賃が上昇していることで、オーナーが得られる利回りはウッドショック以前から維持している。

 今後は上場を機に、建築の受注スピードを速めていく。上場により金融機関からの資金調達を増やし、建築件数の拡大につなげる。23年8月期は177棟が竣工。それを、25年8月期には203棟と、20棟以上増やしていく計画だ。

 事業の成長に欠かせない人員の確保にも注力する。97人いる従業員を、5年以内に200人以上にすることを目指す。上場で社会的信用力を高め、選ばれる会社にしていく。

 「時期は確定していないが、いずれは一般市場への上場も目指していく」(黒岩社長)

(國吉)
(2024年4月15日20面に掲載)

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