雑誌・漫画・旅行ガイドなどの電子書籍読み放題サービスを手がけるビューン(東京都千代田区)は、集合住宅の入居者が無料で電子雑誌と電子漫画を読むことができるサービス「ビューン読み放題マンション」を提供する。サービス提供戸数は3月25日時点で約13万戸だ。同社の大石隆行社長に、サービス開発の経緯や販売戦略について聞いた。
1万2000棟が導入 賃貸が9割占める
―御社が提供する雑誌・漫画・旅行ガイドなどの電子書籍読み放題サービスについて教えてください。
スマートフォンやタブレットを使って、電子雑誌や電子漫画を何冊でも読むことができるサービスです。対象コンテンツは雑誌が800誌2500冊、漫画が6万冊、旅行ガイドが300冊。サービスには大きく分けて、利用者が自身で料金を支払うコンシューマー向けと、店舗や集合住宅のオーナーが顧客や入居者のために料金を支払って契約する法人向けの2種類があります。売上高は非公開ですが、比率はコンシューマー向けが6割、法人向けが4割となっています。
―法人向けは、賃貸住宅に多く導入されているようですね。
ビューン読み放題マンションは、3月25日時点で約1万2000棟・13万戸に提供しており、導入物件のうち9割は賃貸住宅となっています。入居者が自身のスマホやタブレットを物件に導入されている無料インターネットにつなぐと、ウェブブラウザーで同サービスを利用することができるようになり、アプリのダウンロードは不要です。2017年の提供開始以来、導入物件の伸び率は年20%ほどをキープし続けています。
ビューン読み放題マンションの利用画面
―賃貸住宅への提供が伸び続けている理由は何でしょうか。
賃貸住宅には、空室対策や物件の差別化のために入居者向けサービスとして導入されるケースがほとんどです。提供先からは、スマホやタブレットをネットにつなぐだけで利用することができるため、ほかの優待サービスに比べて入居者の利用率が高くなっているという声を頂くことが多いです。漫画を読む機会の多い学生向けマンションの共用部への提供も進んでいます。
―物件オーナーや管理会社への販売は、どのように行っているのですか。
基本的に直販は行わず、物件オーナーや管理会社に商品・サービスを提供する企業をパートナーとして販売を行っています。主な販売パートナーは賃貸住宅に全戸一括型ネットを提供するISP(インターネット接続事業者)で、現在13社と提携中です。ISPからは、自社のネットサービスの差別化商材として好評を頂いています。利用料金は基本的にはオーナーが負担することが多いのですが、ISPが負担する場合もあります。