金融庁の立入検査で揺れる地銀

金融庁は、5日に行ったスルガ銀行(静岡県沼津市)への行政処分に関する会見で「投資用不動産への融資割合が高い金融機関への立ち入り調査をアンケートと並行して進めていく」と発表した。対象となる地方銀行は、金融庁の検査を受け、審査や与信管理など体制整備を迫られる。サラリーマンへの収益不動産融資を断られるようになったという不動産会社の証言も出てきており、収益不動産販売に影響が出ていきそうだ。
金融庁は、すでに個人向けアパートローンの売り上げ比重が高い地方銀行に対して立ち入り検査を始めており、今月末までには全国の都市銀行や地銀に対して不動産融資の一斉調査を行う予定。
賃料査定や将来の不動産投資シミュレーションサービス『Gate.(ゲイト)』を展開するリーウェイズ(東京都渋谷区)は地銀の危機感を実感している。『Gate.』はこれまでに60社で導入され、そのうち6社が金融機関だ。現在同サービスの導入を検討する8行のうち、1行には金融庁の調査が入ったという。同社の巻口成憲社長は「金融庁が担保物件の調査に直接現地まで行くほどだと聞く。金融庁に賃料や入居率を当初の事業計画と比べられ、審査の適正さが求められるようになっている。当社のサービス内容を審査部の副部長が聞きに来るなど、金融機関側の本気度が変わってきた」と語った。


ニッセイ基礎研究所(東京都千代田区)の上野剛志シニアエコノミストは「スルガ銀行問題で、地方銀行はアパートローンに対してさらに慎重になるだろう。需要側もこういった事件からアパートローンを組むことを足踏みする動きが出てくると考えられる」と説明する。
個人の貸家業向け新規貸出は減速傾向にある。2015年の税制改正による相続税増税で節税対策のアパート需要が急増し、さらに16年に始まった日本銀行のマイナス金利政策で投資用不動産への融資が増えた。(上グラフ参照)16年から金融庁のチェックが厳しくなり、17年には家主業向け融資は減速した。「地銀は横並び志向が強く、他行が不動産融資を抑えているところで、融資を強化していると悪目立ちするのを嫌がる」(上野シニアエコノミスト)
アパートローン減速に拍車
投資用不動産の不正融資を理由にした業務停止はこれまでになかったのではないか。もし過去に事例があれば、銀行の自浄作用が働いてここまで不正融資が膨らむこともなかっただろう。
今回のスルガ銀行の問題を受けて、地銀の投資用不動産融資は自粛モードになる。次に同様な事象を防げるのか、改めて自行の中の審査や担保評価などの制度設計を整備し直す時期になるだろう。

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