企業研究vol.014 北本 和志 社長

協同建設(大阪府摂津市)では、IT技術による業務効率化を図っている。物件詳細をシステム化し、全社員と共有することで、入居対策をスピーディーに行う。「不動産業界は保守的だったが、今後は最新技術を積極的に取り入れていきたい」と語る北本社長に、近年導入を進めている取り組みを聞いた。

住宅は命を守る要 地震被害は最小限

――建設会社でありながら、北摂エリアを中心に約2000戸を管理されていますね。

北本 当社は1976年の創業以来、賃貸住宅から商業店舗、病院や物流倉庫など幅広く開発を手掛けてきました。エリアや需要に合わせて事業手法を選択できる点が強みです。また、賃貸住宅の管理に関しては、当社で建築した物件に限定している点も特徴の一つです。

――管理戸数を増やしてストックビジネスを拡大していく管理会社が多いですが、そうした手法を取っているのはなぜですか。

北本 他社の物件では、耐震性能や建物の構造に責任が持てないからです。実際、昨今は大手ハウスメーカーによる耐震偽装問題が目立っています。もちろん、どのメーカーも偽装を行っているわけではありませんが、建設会社として、建物は命を守る要であるという誇りを持っています。

――2018年は6月に大阪北部地震が発生し、多くの賃貸物件が半壊や一部損壊などの被害を受けました。その後台風などの自然災害が相次ぎ、防災の大切さを改めて実感した1年でした。

北本 幸い、当社の管理物件は大きな被害から免れました。しかし、今後は南海トラフ地震が起きると予想されています。定期的な物件のメンテナンスに加え、長期での修繕計画が必要ですね。

――オーナーが個々で実践できる防災への取り組みはありますか。

北本 震災による死因の多くは、家屋の倒壊や家具などの下敷きとなるケースです。こうした被害を防ぐためにも、家具固定部品を推奨しています。これならコストをかけずに地震から入居者を守ることができます。

――近年は業務効率化にも力を入れているようですね。

北本 18年12月よりITシステムを導入し、全社員がタブレットやスマートフォンで物件の状況を把握できる環境をつくりました。グーグルマップ上に物件の位置を可視化し、最新の入居率まで確認可能です。例えば、100%稼動は青色、90%以下は赤色というふうに、ひと目で見分けることができます。また、入居者からの声や物件の細かな故障などもシステム内に記入することができるため、対応漏れ対策となっています。

――最近は最新技術を取り入れる管理会社が増えていますね。効果はありましたか。

北本 これまで物件の入居具合や設備状況などは各担当者しか知りえませんでした。そのため、空室対策のための提案も、自身のアイデア内に納まってしまいました。全社員が共有することで、入居者のターゲット層や仲介会社への営業手法、女性目線による部屋づくりなどさまざまな意見が出るようになりました。導入前はITに頼るようになり、コミュニケーションが希薄になることを懸念していましたが、逆に社内環境が改善され、何でも言い合える雰囲気になってきています。

――他にも、新たに導入した事例はありますか。

北本 昨年秋ごろから、管理物件で360度カメラを利用しています。HPにて掲載し、希望者は自宅におりながら部屋の隅々まで見ていただくことができます。当社は集客面を仲介会社に任せていた部分があったので、部屋の魅力を自社でもPRするようになったのは大きいですね。これまでHPによる反響はほぼありませんでしたが、360度カメラを導入してから、月に数件問い合わせが入るようになりました。

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