かつて地域住民の生活インフラとして親しまれた食料品スーパーの空き店舗が、大規模なリノベーションによって、定員7人の温かな看取りの住まいへと生まれ変わった。人口減少と高齢化が進む地域ならではのコンバージョン(用途変更)の成功事例として注目されそうだ。
高齢者が暮らす終の棲家
終末期をサポート
訪問看護・介護事業を手がけるNPO法人和はは(兵庫県加東市)は、廃業後19年間にわたり空き店舗となっていた元食料品スーパーを改修し、ホームホスピスを開設した。同ホームホスピスは、終末期のケアとして医療や介護が必要な高齢者が共同で暮らす住宅だ。木造と鉄骨造が混在する建物の1階部分を改修し、2024年7月に開業した。一般社団法人全国ホームホスピス協会の正会員施設で、場所は兵庫県小野市の住宅街にある。
入居定員は7人で、居室はすべて個室。これまでに20人がこの場所で暮らし、そのうち11人が息を引き取った。入退去はあるが、1年ほど前から、ほぼ満室の状態を維持している。地域での認知度が上がり、病院やケアマネジャーからの紹介が増えているという。
入居費用は家賃や共益費のほか、食費や水光熱費を含め月額で18万円〜。これに加えて介護保険や医療保険の自己負担分が必要となる。利用者の多くは寝たきりの状態だ。訪問看護・介護サービスも提供する同法人が24時間体制の手厚い医療と介護を提供している。
事業の収益構造は、入居者から受け取る利用料と、同法人が展開する訪問看護・介護などの事業収入で成り立っている。満室稼働により、現在は安定した経営状況だ。
家族所有の店舗
同ホームホスピスはもともと、和ははの小林あす香代表の父親が経営していた地域の食料品店「スーパーフジワラ」だった。2階建てで、小林代表が子どもの時は2階の住居に家族で暮らしていた。ス―パーが閉業したのは5年ごろ。周辺地域に大型商業施設が次々と進出したことで客足が減少。父親が他界したこともあり、経営が厳しくなっていた。廃業後の建物は19年間、借り手が見つからないまま空き店舗の状態だったという。所有者は小林代表の母と兄だ。





