交通網遮断で安否確認終わらず

広域にわたって賃貸住宅に被害を与えた西日本豪雨の影響で管理会社は対応に追われている。交通網の遮断や被害棟数の多さで、状況確認が難航している。
水が出ない連絡相次ぐ
支流の小田川が氾濫し、広域にわたり浸水した岡山県倉敷市真備町で管理を行う土井建設の担当者は「4~5m水をかぶった物件もある。水没、半水没などをあわせて管理物件13戸に被害があった」と語った。周囲の住宅も50棟ほど浸水。水や電気が止まり、信号もストップし完全に交通網が遮断されている状態だという。「ライフラインが復旧するのを待っている。被害のあった入居者は空き物件に誘導する予定だ」と動けない状態が続く。
 
岡山市内を中心に3200戸管理するつばめ不動産(岡山市)では、被害が北区津高に集中。床上浸水20戸に加え、給水ポンプが壊れ、管理物件の50戸が被害を受けた。岡山市内でも、特段影響のなかったエリアと、被害が大きかったエリアに分かれた。営業課の長井隆明マネージャーによると、「雨が続いた6日の夜は避難勧告・指示を告げるアラートが鳴りっぱなしだった。ただ、自宅は全然普通の雨だったので、ここまで大きな被害が出ているエリアがあるとは全然気づかなかった」と振り返る。
雨がやんだ7日、携帯電話にオーナーから「物件は大丈夫か」と連絡が10件ほどあった。入居者からもコールセンターを通じて「水が出ない」などの問い合わせがあった。
人手が足りず、10日時点で入居者全員の状況や物件の巡回はまだ終わっていないという。20棟あった床上浸水の物件に関しては、工事の内容や期間についてこれからオーナーと相談して決めるところだ。
「仲介店舗には、被害の大きかった東区平島や北区津高から『引っ越したいので部屋を紹介してほしい』という連絡が来ている。被災者には家賃以外の初期費用を無料で提供していく予定だ」と話した。


同じく岡山市内で約200棟1800戸管理する後楽不動産(岡山市)は3棟で床上まで浸水したなどの被害があった。7日は岡山市外の社員が通行止めや電車運休により、市内に入れなかったため臨時休業にした。8日には、出社できるスタッフのみ本社に出勤した。オーナー全員に電話で安否確認を行い、オーナーが所有物件の近くに住んでいるケースも多かったため、家主自ら見に行って状況を教えてもらった。8日から巡回をはじめており、13日には、全物件のチェックが完了した。
 入居者の安否確認には、状態のひどそうな物件から優先して電話連絡をしているが、特に固定電話でつながらないケースもある。避難しているかどうかは把握しきれていない。被害のある管理物件の入居者の住居確保はこれからの課題だ。行政も対応できておらず、もし無料提供して、住んでしまったら公営住宅に住めないなど問題があるため判断に迷っているという。
4年前の経験生きる
 土砂崩れが起こった東広島市内で管理を行う芸陽バス(広島県東広島市)は東広島市黒瀬町の物件2棟40戸がひざ上まで浸水した。被害が大きくなる前に避難したため、入居者は無事だった。「4年前に発生した土砂災害でも被害を受けた地域だったため、警報が出た時点で避難した入居者もおり、前回の経験が生かされた」(担当者)
 積水ハウス広島シャーメゾン支店の担当者は「社員の中には7日に、道が土砂崩れで帰宅できず車中した者もいる」と語った。特に広島坂町で被害が大きく、東方面へ行けない状態だという。電車や国道、高速道路がストップし交通が一部遮断されている。
 賃貸、一般住宅あわせて全壊、半壊の物件はなかったが、石積みがくずれた、浸水、土砂崩れはあった。アパートの被害は比較的少なかったと思うが、道が封鎖されているためすべての物件確認はできていない、とコメントした。
 県内最大手の良和ハウス(広島市)は市内を中心部に管理物件があったため、大きな被害にあった物件は少ないという。漏水の被害は数件問い合わせがあったが、ライフラインも復旧しているので大きな混乱にはなっていない。
 広島市内を中心に4380戸管理する大和興産(広島市)でも管理物件に大きな被害はなかったという。これから被災地の住民からの引っ越しの問い合わせが入ると予測しているが、物件提供については、現在検討中だ。

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