• HOME
  • 特集
  • 企業研究vol.003 貝沼建設 宇山公一郎 社長

企業研究vol.003 貝沼建設 宇山公一郎 社長

新築アパートの建築と賃貸管理の請負で「年商100億円・1万戸管理」の規模になった貝沼建設。
2019年9月で設立50周年を迎える〝アパート建築の老舗〟として知られている会社。
その貝沼建設も、昨今の融資引き締めと建築費高騰の逆風にさらされ、新築売り上げの落ち込みは避けられそうにない。
だが同時に、身の丈を超えた拡大路線・利益偏重の営業には決して踏みいれようとしない宇山公一郎社長の姿勢からは、地場密着の「堅実経営」を貫きたい強い意志が感じられた。
名古屋の会社らしい同社の業績と戦略を聞いた。

新築依存はリスク

――昨今の業績を教えてください。
宇山 5カ年計画の目標だった「50期で年商100億円」を達成できました。2014年7月期(45期)に80億円だった売上高は、17年7月期(48期)に100億円。18年7月期(49期)は約96・5億円、今期(50期・19年7月期)は93億円(見込み)と落ち込んだものの、いずれも日銀の金融緩和と低金利の追い風により新築受注が伸びました。売り上げ構成は、建築部門6割、不動産部門4割です。新築売り上げは、完成高で計上しています。5カ年計画は今期が最終年度です。

――順調に推移しましたね。
宇山 通常はすでにお持ちの土地に上物を建てる相続税対策としての建築を提案していますが、この5年は、土地購入から建築していただく受注案件が増えました。それだけで年10億円ずつ上積みされました。

――新築はどの程度の規模ですか。
宇山 新築マンションは1棟平均10戸程度で1億~1億5000万円ほどでしょうか。弊社は郊外の案件が多いこともあり、3~4階建ての賃貸マンションの比率が高いです。戸建て賃貸は年100棟くらいやっています。平均1棟1000万円です。

――新しい傾向はありますか。
宇山 新築案件の傾向としては、建築物が徐々に小型化しています。RC造賃貸マンションが減り、木造の戸建て賃貸やメゾネットが増えています。リーマン・ショック以降、その傾向が続いています。

――土地購入からの新築案件はどういう層に提案されましたか。
宇山 あくまで長いお付き合いのオーナー様です。2代目、3代目の方で、地元の金融機関との取引実績が豊富で、それも既存物件の借入金を完済しているような優良顧客です。何かに投資しないと、収入だけが増えて税負担が上がってしまうようなオーナー様に提案しました。

――やみくもに提案先を開拓しないところが御社らしいです。
宇山 オーナー様の「永代繁栄」を根底に働いています。これは新ビジョンにも掲げていますが、地元で代々土地を受け継いできた方々に弊社は支えられています。その方々の土地は、先祖が汗水たらして守ってきたものです。近年は損得や効率化にとらわれ、立地や利回り優先で売却して買い替えるケースなども増えているようですが、そのやり方は、代々土地を受け継いできたオーナー様には通用しません。先祖、親が守ってきた土地を、しっかり守っていかないといけない。この継承意志を社員一人一人が明確に持ち、しっかりサポートすることを大切にしています。

――その考えが、地場で長く商売を続ける秘訣なのかもしれません。8月の51期から始まる「3カ年計画」はどう組み立てていきますか。
宇山 次の3カ年計画では、融資縮小や消費税増税などの反動減を見据えています。郊外のオーナー様に利便性のいい好立地の新築案件を提案しようにも、地価・建築費が高騰し、提案が厳しい状況になっています。少し前と比べて地価・建築コストが2~3割ほど上がりました。しかし、それに合わせて家賃も2割上げられるかというと、そういうわけにもいきません。オーナー様と次世代のご家族にメリットのある物件の紹介が難しい状態です。名古屋地区は全国的に見れば、その後もリニア効果などが続きますので好調な面もありますが、地元とのつながりをより強固にしていきたいと思っています。

――売り上げはどう見ていますか。
宇山 17年7月期の新築工事の売上高は51億円ほどでしたが、18年7月期は41億円ほどまで落ち込みました。この先も新築需要の大幅な増加は厳しいとみています。その代わり、管理既存物件のリフォームやリノベーション工事、それから管理手数料、損保(火災、家財など)の代理手数料などで適正粗利の確保で財務を補っていきたいです。保険業務は比較的新しい事業ですが、今後生保の販売代理も始める予定です。

(続きは本誌で)

【会社概要】
社名:貝沼建設
住所:愛知県名古屋市中区栄5-7-14
設立:1969年9月17日
資本金:1億3000万円
従業員数:133人(2018年8月時点)
管理戸数:約1万戸
仲介店舗:約96億5000万円(18年7月期)

【会社メモ】
名古屋密着の建築・不動産会社。
祖業は貸倉庫と貸工場の建築・仲介業。
創業者は貝沼正敬氏(故人)。
今年9月に設立50周年を迎える。
同社のオーナーが集う「ひまわり会」には約600世帯が加入している。

【社長メモ】
宇山 公一郎社長(48歳) 1971年1月26日生まれ。
愛知県名古屋市出身。 名古屋工業高校建築科卒業後、89年に貝沼建設入社。
設計と現場監督を10年ほど経験した。
創業者の娘婿となり、各部門を経てマネジメント業務に集中するようになる。
2007年、2代目社長に就任した。

関連記事