築年数のたったオフィスビルが増える中、単なる原状回復ではなく、収益を生む資産へと再生するリノベーションが注目されている。ノットコーポレーション(大阪市)は、ビルの市場での立ち位置を分析し、オーナーの課題に合わせた改修を提案。賃料向上や満室につながった事例も生み出している
利用者目線の設計、 販促も支援
建物の物語を反映
同社が手がけた改修事例の一つが、大阪・肥後橋にある築37年の9階建てのオフィスビルだ。約37年間にわたり企業が本社として一棟を利用していた。退去を機に、フロア単位でテナントに貸し出すオフィスビルへ転換することになった。
着目したのは、ビルが立地する肥後橋周辺の歴史だ。同エリアは土佐堀川に近く、物資を運ぶ船や商人が行き交った場所でもある。そこで停泊する船を蔵へ入れる水路を意味する「船入り」をモチーフに、「船入蔵屋敷」というコンセプトを掲げた。
改修では、一棟利用を前提としていた基準階を、複数の企業が入居できるオフィス仕様へ変更。エントランスや共用廊下も刷新し、建物に入った瞬間からコンセプトを感じられる空間に整えた。意匠には船の帆を思わせる形や、船体を連想させる丸みのあるデザインを取り入れ、肥後橋の土地の記憶を現代的なオフィス空間として表現した。
ビルソリューション事業部の片岡亮平氏は「まずコンセプトを決めて、それを基にプランやデザインを考えた」と話す。単に築古感を消して新しく見せるのではなく、その地域や建物の固有の物語を設計に落とし込んだ。それに加えて、ラウンジやセットアップオフィスをつくることでほかのオフィスビルとの差別化を図った。
オフィススペースは、必要な設備を備えたセットアップオフィスに改修した





