1階に子ども食堂をオープン
「関西クリーンサービス」の屋号で遺品整理や特殊清掃事業を行うALIFE(エーライフ:奈良市)は、強盗殺人事件が起きた大阪市生野区のビルを買い取り、賃貸ビルとして再生。1階の一部では、子ども食堂を1月31日にオープンした。
A‐LIFEはグループの不動産会社で、心理的瑕疵(かし)物件などの買い取り再販、再生事業を手がけている。同ビルは事件発生後に遺族から相談を受け購入した。購入費用は、同ビルと、犯人の侵入経路となった隣接する戸建てを合わせ約1000万円。同ビルはS造3階建てで、1階が貸し店舗、2〜3階が元所有者の自宅兼事務所だった。
A‐LIFEは同ビルを3000万円かけてリノベーションし、賃貸ビルに再生。1階の子ども食堂「カンクリキッズキッチン」は自社で運営する。収益面で建物を再生するだけでなく、地域や社会に必要とされる拠点として活用することで、不動産の価値を再定義する試みだという。
子ども食堂のオープンイベントでは、来場者に握りずしをふるまった
亀澤範行社長は「自殺や高齢者の孤独死は、貧困や社会からの孤立が原因の一つ。こうした問題を解消するような場所を自社で運営したいと思い、子ども食堂の開設に至った。この取り組みが物件再生の新たなモデルケースとなれば」と語る。
オープンイベントには、生野区の筋原章博区長が来場した。生野区は、空き家対策を主要課題とし、リノベによる活用を推進。その一例として、放置すれば将来的に特定空き家になる可能性が高い事故物件を、子どもの支援拠点にした点を評価しているという。
同ビルの2〜3階は賃貸住宅で、すでに満室だ。合計4戸のワンルームで、完成から1年半で入居が決まった。募集開始直後は問い合わせが少なく難航したが、物件名を「A‐LIFE RESIDENCE(エーライフ レジデンス)」に変更。エントランスに物件名の看板を付けたところ、印象が一新され、入居申し込みが入るようになったという。
2、3階は賃貸住居としてリノべした
間取りを造り変える際に、殺人が起きた寝室を1つの住戸に収めた。その住戸のみ家賃を相場の7割程度に設定。残りの3戸は、築年数に応じた周辺相場と同等の賃料だ。「建具や水回り設備はグレードが高い商品を入れたため、新築のような部屋に割安で住めるというメリットを感じてもらえたのが申込の決め手になった」(亀澤社長)。
同ビル1階には建築事務所が入居。侵入経路になった戸建てはファミリー世帯に賃貸中だ。
A-LIFE
亀澤範行社長
(2026年2月23日4面に掲載)





