空き家を年間300件仲介 流通メディアを自社で運営
ユーザー登録者数4万人超
空き家が次々に売れていくウェブサイトがある。家いちば(東京都渋谷区)が運営する「家いちば」だ。空き家の持ち主自身がサイト上で物件をPRし、直接買主を探すことができる仕組みが受け、注目を集めている。現在、年間300件を超えるペースで不動産が取引される。
月間PV600万超
家いちばは、15年の開始以来、ユーザー登録者数は約4万人を超え、月間PVは600万超の人気サイトだ。大手不動産サイトでは目にしない、全国各地の個性的な空き家を大量に掲載している点で人気を集める。これまで累計で約4000件を掲載し、サイト上で売買された総成約件数は約900件にも上る。
大きな特長は二つ。一つは、物件の価格設定から紹介記事の執筆、写真撮影、内見対応まで、すべて売主が行うこと。二つ目は、買主と売主が直接交渉することだ。
例えば、24年4月時点でアクセスを集めた埼玉県のとある空き家情報。築50年以上の木造2階建てで「99万円」という破格の安さも目をひくが、「父が他界し使う予定がありません」「住民はお年寄りが多いですが良い人ばかりです」などの売主しか知り得ない生々しい紹介文が印象的だ。100件以上の問い合わせがあったという。
「売主が書いた文章をそのままを掲載する。いい話も、悪い話も。従来では不要とされてきたような情報が実は好評」(藤木哲也社長)
買主は、気になる物件があれば売主に対しサイト内の「メッセージボード」を通じて交渉する。
成約時には売主と買主ともに、宅地建物取引業法(宅建業法)が定める仲介手数料の半額と8万円の基本料がかかる。これが家いちばの収益モデルだ。
反響が50倍超に
今こそ人気となった家いちばだが、数年前まで、問い合わせは月に5〜6件だったという。状況を大きく変えたのはコロナ禍だ。テレワークが普及し、人々のなかで複数拠点生活や移住に対するハードルが下がったことで人気に火がついた。
今では、藤木社長いわく「廃墟」のような古家に買い手がつく。売買契約は年間300件以上のペースに跳ね上がった。「購入者の中で移住目的の人は約3割。2、3拠点目の家として購入する方も多い。定住するわけではないので立地が悪い土地なども選択肢に入るし、設備的にも妥協できる」(藤木社長)
家いちば
東京都渋谷区
藤木哲也社長
(2025年9月8日10面に掲載)





