賃貸ポータルサイト『マイナビ賃貸』を運営するマイナビ(東京都千代田区)が1日、空室を借り上げ法人借主に転貸する事業を開始した。ポータルサイトは12月26日に閉鎖する。2012年から運営してきたが、部屋探しユーザーの集客に苦戦しSEO対策のコストが重くのしかかっていた。今後はインターネットビジネスではなく、同社が主力とする人材事業における全国の企業とのつながりを生かし、空室を解消する転貸事業で巻き返しを図る考えだ。
12月にポータルサイト閉鎖し事業転換
マイナビが立ち上げたのは、法人に1カ月から家具家電付きの賃貸住宅として空室を転貸する『マイナビBiz』だ。入居期間が3カ月までの『STAY(ステイ)』と、3カ月以上の『サブスク社宅』の2プランを設けている。法人は、どちらも敷金や礼金の負担なく、借りることができる。貸主はマイナビのため、仲介手数料も発生しない。
人材支援事業では多くの企業と取引実績がある。20年卒の学生を対象にした新卒採用サイトには2万5778社、転職サイトにはここ1年で約3万7000社が掲載している。同社は人材確保のために、賃貸住宅を借り上げ社員に住まいを提供したいと考える企業が多い点に着目した。『マイナビBiz』を手掛ける同社の住まい情報事業部は、人材関連の事業部と連携。採用に関わる中で社宅ニーズを把握し、借り手企業の条件に合う空室を借り上げて転貸する。借り手がいる状態で住戸を借り上げるので、空室リスクは軽減できる。オーナーから直接サブリースするのではなく、管理会社経由で借りるため、管理会社にとっては空室が埋まり入居率が改善するとともに、管理手数料の売り上げを確保することが可能だ。