収益不動産販売で成長してきた武蔵コーポレーション(東京都千代田区)は、賃貸管理会社としての存在感を高めている。2月現在、管理戸数は1万6000戸を超えた。収益不動産に対する融資が厳しい中、管理を軸に売り上げを伸ばしている同社、大谷義武社長は次なる一手を打ち始めた。
金融機関7行と提携し受託増加
月200戸超新規受託
武蔵コーポレーションといえば、北関東を中心とした収益不動産販売で成長してきた会社だ。2019年8月期の売り上げは114億円で、対前年比3億円増となった。「収益不動産販売に対して融資が厳しかったことが響いた。ただ、微増ではあるものの、売り上げ減は避けることができた」と大谷社長は苦笑しながら話す。
収益不動産販売会社が軒並み対前年比の売り上げの減少を余儀なくされる中で、なぜ同社が微増したのか。大きな要因は、管理受託に注力してきたことにある。前期の売り上げの内訳を見ると、管理部門の売り上げは27億円で前年比20%増だった。他の部門が87億円で、前年比10%減を補填(ほてん)した形となったのだ。
創業して今年、15年を迎える同社は管理会社として、着実に管理受託を増やしている。月間新規管理受託数は200~300戸。
これまで管理受託については、収益不動産販売に伴う受託が主だった。ところが、19年ごろからその状況が変わってきた。19年9月ごろから同社は金融機関との提携に注力してきた。その結果、現在、地方銀行を中心に7行と提携。新規管理受託の4割超が金融機関からの紹介で管理を受託しているのだという。「管理を受託しているオーナーは700人ほどいるが、そのうちの3割が地主で、売買取引をしていないオーナーだ」(大谷社長)
同社が金融機関からオーナーを紹介してもらいやすいのは、同社の管理サービスにある。『3カ月後満室保証』だ。プラン内容は同社が管理を受託して募集を始めてから3カ月で満室にできなければ、以降、空室分の家賃は同社が負担して支払う。金融機関から紹介を受けるオーナーの大半は、空室に困っているオーナーだ。同社に管理を委託すれば、空室問題が解消できれば、金融機関も取引先であるオーナーの財務状況も良くなり、安心して紹介できる。
新規管理の獲得を加速させると、20年中に管理2万戸は射程内だろう。