大和ハウス工業(大阪市)は、ZEH-M(ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)基準を満たす、賃貸住宅商品の販売を推進していく。
都市部での営業を強化
ZEH-MやNearly(ニアリー)ZEH-M仕様の賃貸商品として、グレードの高い「GRACA(グラサ)」と「TORISIA(トリシア)」の2商品を軸に展開していく。
ともに太陽光発電システムを搭載。断熱性能を高めるために、構造体に入れた断熱材に加え、高密度のグラスウールボードを施工することで、外気温の影響を抑制する。一部、地域や日当たりなどによりZEH-M基準を満たさないケースもある。
同社は2023年12月20日に賃貸住宅事業説明会を都内で開いた。集合住宅事業本部長の出倉和人取締役は「当社の着工戸数におけるZEH-Mの比率は23年9月末時点で37.5%だったが、26年度には50%を目指していく。直近の23年11月では80%近くになっており、もっと早い段階で目標数値を達成できるだろう」と語った。
グレードの高い環境配慮型商品で付加価値を与え、都市部での建築案件獲得を狙う。
同社によると、22年度に建築確認申請が行われた賃貸住宅の延べ床面積のシェア率は、全国で13.1%だが、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)においては11.5%にとどまっている。地方の比重が大きかった人員体制を見直していく。
「国内の人口減少を踏まえ、賃貸住宅の売買や買い取り再販事業にもフィールドを広げていく」(出倉取締役)
同社の建築・分譲・管理などを含む賃貸住宅事業売り上げは23年3月期に1兆1494億円、営業利益は1097億円だった。
24年3月期は同事業売り上げ1兆2200億円、営業利益1170億円の増収増益を見込む。
(2024年1月15日1面に掲載)