神奈川県東部を中心に総合不動産事業を展開するウスイホームの新社長に、生え抜きの海沼仁氏が就いた。売買仲介では、資産家向けのマーケットにも目を向ける。人と会い関係を築くことを重視する海沼社長に今後の展望を聞いた。
高額売買仲介の新規部署設立
海沼社長は2025年4月に代表取締役社長に就任。資産家向け売買仲介の新規部署を立ち上げ、事業に弾みをつける。
同社は神奈川県横浜市と横須賀市を主な商圏とする。売買仲介をはじめ、賃貸仲介、賃貸管理、建築、リフォーム、保険、高齢者支援まで幅広く事業を手がける。
25年3月期の売上高は約48億8900万円。社員数は236人(派遣社員除く)で、不動産仲介を行う不動産部は135人、賃貸管理に携わる不動産管理部は31人が所属している。拠点数は40拠点。ウスイグループとしての売上高は約144億8900万円だった。
売買仲介の年間成約件数は2240件。横須賀市、横浜市、藤沢市、逗子市エリアに16店舗を構えている。25年10月には港北ニュータウン店をオープンし、横浜市内でも人口が多くファミリー層から人気の高い港北区に進出した。
海沼社長は「横浜市北部は都内に通勤しやすいため、20〜30代といったこれから家を買う層が多く住んでいる。様子を見ながら今後も出店を増やしていきたい」と話す。
賃貸管理・仲介も手がける。賃貸住宅は1万953戸を有償で管理。年間賃貸仲介件数は2677件となっている。
24年から、業務の効率化と社員教育の促進を目的として、賃貸仲介部門の店舗統合とセンター化を実施した。これにより3拠点のセンターを設置。以前は1店舗あたり1〜3人の賃貸仲介営業担当者を配属していた。センター化することで1拠点に平均で9人体制となり、教育を手厚くすることが可能となった。
新店の立ち上げ 累計8店舗
海沼社長は1997年に新卒でウスイホームに入社。店舗テナントのリーシングを積極的に行い、6カ月間で16件を成約した。その結果、通常であれば入社後1年間は賃貸仲介業務を経験するところ、入社1年目の10月に売買仲介部門へ異動。97年度の同部門の新人賞を受賞した。
2001年には新店舗だった上大岡店の店長に就任。その後も新たに出店した拠点の店長を歴任し、エリアの顧客開拓と地元企業とのコネクションを構築。同社の営業基盤拡大に寄与した。その後、エリアマネージャーとしても店舗の立ち上げに参画。累計で8店舗の立ち上げに携わった。
社長就任後は新規ビジネスの立ち上げを推進する。
横須賀市にある、ウスイホームの本社
25年5月に高価格物件に特化した売買仲介事業部門としてウェルスマネジメント部を創設。売買仲介事業をさらに強化する。海沼社長自身も積極的に営業活動を行い、新たな顧客層の開拓に取り組む。新事業立ち上げの背景について、神奈川県、特に横浜市エリアで高額物件の取引高が伸びていることを挙げる。
同部では、基本的に企業のオーナー社長などの国内外の資産家を対象顧客とする。売買仲介する物件は、1億円以上の投資用物件や土地だ。物件の所在エリアは東京23区、神奈川県川崎市と横浜市が中心となっている。25年12月末時点で同部で売買仲介を実施した物件の賃貸管理を受託した事例も複数出てきており、管理戸数の拡大にもつながるとみる。
「長い間携わってきた新規店舗の立ち上げは、特に当社の認知度が低いエリアでは店舗の全員が出せる力をすべて出し尽くさないと何も起こらないという厳しい環境だった。ウェルスマネジメント部の立ち上げは、今までとは異なる価格帯の物件を扱い、全く新しい顧客層へのアプローチが必要となる。そのためさらに難易度が高いと考えている。対面で人と会い、話すことを大切にしている」と海沼社長は語る。
2025年10月にオープンした港北ニュータウン店
現場目線を重視 拠点に足を運ぶ
「社長業と営業担当者の二足のわらじを履くことで、社員と接するときに現場目線で会話ができる。立場としてはトップだが、社員と同じ目線で現実を捉え、現場に近い形で支援していきたいと考えている」
海沼社長は月に1度を目安として40ある各拠点に足を運び、社員に会いに行く。昼食を共にする際は、くつろいだ雰囲気の中で仕事の相談をはじめプライベートの話題で盛り上がることもあるという。
「店舗に足を運ぶことで、店舗の業績の好調・不調の理由を把握することができるため、その都度店舗にフィードバックを行う。店舗まわりなどの清掃状況は、好調店か否かの指標になると感じている」
訪問以外では、自身が推進するウェルスマネジメント部に関連した仕事などを、通常業務で関わりのない社員に依頼することで、さまざまな部署・年次の社員と継続的なコミュニケーションを取っている。その結果、社長に相談しやすい企業風土となり、風通しが良く仕事に取り組みやすい環境となっているという。
今後について「事業を拡大させる一方で、さらに地域密着企業になることを目指し、地域発展のために活動を継続していく。現在は地元の祭りへの協賛、横須賀市と連携した移住促進ツアーの開催のほか、売り上げの一部を使い地域の子どもたちを対象としたスポーツ・文化活動の支援などを行っている」と海沼社長は話した。
同社は35年度に、25年度と比較して売上高30%増の成長に向けて進んでいく。
(舘野)
(2026年2月9日20面に掲載)




