石川県・富山県・福井県で約4万戸に液化石油(LP)ガスを供給する三谷産業イー・シー(石川県野々市市)は2023年12月15日、ガスの使用状況を利用した見守りサービスの提供を開始した。
競合との差別化目指す
低消費電力で長距離データ通信が可能な無線通信技術「LPWA」を使った端末を活用。同社は、ガスの自動検針や異常検知のため供給先のメーターにLPWA端末を設置している。端末が収集するガス使用状況のデータから、1時間単位で任意に設定する期間を超えてガスの使用がなかった場合に、指定の連絡先にメールを送信。送信先は1戸につき五つまで設定可能だ。
料金は1戸あたり月額330円(税込み)、初期費用は不要。契約期間の縛りもない。サービス提供対象は、同社がLPガスを供給する賃貸住宅のオーナーや管理会社となる。
三谷産業イー・シーは、通信機器を使った集中管理システムの導入を推奨する経済産業省の動きに対応して、19年からガス供給先へのLPWA端末の設置を開始した。23年12月28日時点の設置率は約5割。25年末までにはこれを7割にまで引き上げる計画だ。
異常時に送信されるメールのイメージ
他方で、ガス供給先の賃貸住宅の管理会社からは、近年高齢単身者の孤独死対策に悩んでいるという声が届いていた。賃貸住宅は、同社のガス供給戸数の7割ほどを占める。管理会社の声に応える形で始めた同サービスは、提供開始から約2週間で複数の管理会社から問い合わせを受けているという。山崎誠取締役は「集中管理システム導入で、ガス漏れなどの早期発見による安全性強化を進めてきた。これに加え、見守りサービスのように賃貸管理会社の需要があるサービスの提供で競合との差別化を図り、北陸地方のシェアをさらに拡大したい」と語る。
(2024年2月5日9面に掲載)